相続税は絶対に必要?相続の手続きや相談先は?

2017年7月27日
相続税は絶対に必要?相続の手続きや相談先は?

相続税の基礎控除が大幅に減額されたことにより、今後相続税の納付義務が生じる人は全体の4%から6%に増加するといわれています。そこで、どのような条件で相続税が発生するのか、相続に関する手続きや相談先など、気になる点を見ていきます。

相続税の発生条件は?手続きは?

相続税が発生するかどうかは、遺産の評価額と基本控除を比べたときに評価額が上回るかどうかで決まります。この基本控除は以前は5000万円+(法定相続人の人数×1000万円)でしたが、現在は3000万円+(法定相続人人数×600万円)に変更されています。なお、特例等を用いて相続税が0円になる場合でも、申告だけは行わなければなりません。

相続税の申告と納付の期限は、被相続人の死亡した日の翌日から10ヶ月以内です。被相続人が死亡した時の住所地を管轄する税務署に申告書を提出しますが、書式は税務署に備え付けられています。申告書は1~15表まであり、さらに付表も付属していて、遺産の種類や各種控除に応じて必要な部分のみを記入します。

添付書類もそれに応じて変化しますが、基本的には被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、遺言書や遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書などを用意します。

一律ではない?相続税率

相続税の税率と控除額は法定相続分に応ずる取得金額によって段階的に変化します。最も低いのが1000万円以下の相続で、控除なし、10%です。3000万円以下になると50万円の控除と15%、5000万円以下になると200万円の控除と20%、1億円以下で700万円の控除で30%と遺産が増えるほど税率は高くなります。

もっとも高い率になるのが6億円超の法定相続分になった場合で、控除は7200万円、55%の相続税が発生します。

なお、贈与税も10~55%の税率ですが、控除額が10~400万円、最も高い税率になる金額が4500万円超とかなり条件としては悪くなります。そのため、場合によっては贈与税ではなく相続税として計算できる、相続時精算課税制度を利用します。

見落とすと損!相続税の控除

相続税の納付において、基礎控除以外の特例や控除は、申告書で申告しなければ適用されません。そのため、これらを忘れると大きな負担になります。まず、相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となりますので、この期間にすでに支払った贈与税は贈与税額控除として差し引くことができます。

配偶者が相続する場合には、法定相続分または1億6000万円を控除できます。未成年者や障害者が相続する場合にも、申告すると相続税の軽減につながります。

また、10年以内に立て続けに相続が発生した時には、2回目以降の相続では相次相続控除として税金の一部が免除されます。そして、海外で相続税を支払ったケースでも、その分は日本の相続税から控除されます。最後に、相続時精算課税制度を利用していた場合も、相続時精算課税制度における贈与税額を控除できます。

贈与税の節約に!相続時精算課税

贈与にかかる贈与税はそれほど大きくはない金額でも、相続税に比べて税率が高くなるためあまりお勧めの手続きとは言えません。ただし、贈与税は毎年一人当たり110万円の控除がありますので、この範囲内で贈与ずることは可能です。ですが、毎年きっちり110万円ずつ贈与をした場合には、税務署から調査が入る恐れもあります。

相続時精算課税制度は、被相続人から生前に贈与された財産については贈与税を課税せず、相続が発生した時にまとめて課税される制度です。財産をすぐに譲渡したいものの、贈与税が高額になる状況などにはこの手続きを取ることで贈与税の節約ができます。

贈与のあった年の1月1日において、20歳以上の贈与者の直系卑属が60歳以上の父母又は祖父母から贈与されたときが対象となります。この制度を利用するには、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間に相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。

自分で手続きは大変!お勧めの相談先

相続税の申告は非常に手続きが面倒ですし、相続人の間で遺産分割がうまく進まず、トラブルになることも珍しくありません。さらに、不動産の相続が発生した時には登記に必要な書類の準備などもあり、故人で行うのは非常に大変です。そこで、必要に応じて専門家に相談する、もしくは依頼するのがお勧めです。

相続人間のトラブルは、調停や訴訟で遺産分割の内容を決める必要があるため、弁護士が適しています。相続税の申告や納付に関しては、税理士が担当になります。不動産について、相続を原因とする所有権移転登記が必要な時には、司法書士に依頼することになります。このように内容に応じて依頼先は異なりますが、専門家同士で連携をとって手続きを進めてもらうことも可能です。円満な相続手続きを目指しましょう。

このように、相続税や贈与税が発生すると手続きや税額の計算は非常に面倒ですし、相続人同士のトラブルも少なくはありません。円満に相続を進めるためには、自分自身も基本的な内容を理解しておくことに加え、相続人全員が協力できる体制を作ること、後々問題にならないようにきちんと遺産について調査しておくこと、信頼できるプロに相談し、面倒な事務手続きについては費用がかかっても間違いのない方法を選ぶことなどが重要です。

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