「最近体重が増えてしまった」「健康診断でBMIの高さを指摘された」などの理由でダイエットを決意した人のなかで、一番身近で取り組みやすいのが“食事制限”。
しかし、やみくもな食事制限は痩せづらい身体になりやすいため逆効果です。ダイエット中に必要な栄養と食事の内容について詳しく解説します。
どこからが“肥満”なの？
男女問わず、BMI（ボディマス指数）が25以上になると肥満だとされています。これは2011年に日本肥満学会が定めたもので、体重（kg）÷身長（m）÷身長（m）の計算式を用いて求めることができます。（※1）
BMI18.5～25までは「普通」ですが、BMI35以上にもなってしまうと「高度肥満」とされ、糖尿や生活習慣病などの健康被害が懸念される数値です。肥満症専門医や生活習慣病改善指導士が身近な存在になるほど、日本人の肥満傾向が深刻な問題になっているのです。
やみくもな食事制限は痩せづらい身体をつくる
今すぐにはじめられるダイエットとしてメジャーな食事制限。しかし、過度な食事制限をして栄養不足になってしまうと、身体が「飢餓状態」だと錯覚します。これによって脂肪を溜めこみやすくなるばかりか、脂肪燃焼を抑える防衛本能が働いてしまうため、ますます痩せづらくなるのです。
また、ビタミンやミネラルが不足すると身体の代謝機能がうまく働かなくなってしまいます。これも痩せづらい身体になってしまう原因の一つ。さらには、肌が荒れたり乾燥したりと、見た目にも悪い影響を与えかねません。
これ以外にも見落としがちなのが、咀嚼したり食べ物を消化したりするときに発生する「食事誘導性熱産生」によるエネルギー消費。食べ物を口に入れてから排泄するまで、体内では一定のエネルギーを消費します。見方を変えてみると、食事はエネルギーを消費し代謝を上げるチャンスでもあるのです。
人間の身体に必要な栄養素とは
米やパンなどのエネルギーに変わる「炭水化物」、骨や筋肉をつくる「タンパク質」、ホルモンの生成に欠かせない「脂質」の3つを「三大栄養素」といい、これらにビタミン・ミネラルを加えたものを「五大栄養素」といいます。
生命維持に必要な三大栄養素はもちろん、血管や皮膚、粘膜の健康を維持するためにはビタミンが必要不可欠ですし、カルシウムや鉄を含むミネラルは骨や歯を構成する大切な役割を担っています。これらをバランスよく摂取することで、人間の身体は正常に機能しているのです。
ダイエット中に必要な栄養とおすすめの食事とは
ダイエット中においては三大栄養素を最低限摂取しつつ、ビタミン・ミネラルをたっぷりと補うことがなおさら大切になってきます。1日の摂取量に関して、炭水化物は50～65g、脂質は20～30gが18歳以上の男女に共通した目標値として設定されています。タンパク質においては、18歳以上の男性の目標値が60g、女性は50gです。（※2）
ダイエット中は摂取するエネルギー量を抑えるべきなので、炭水化物と脂質はこの値よりも少なめを目安にすると良いでしょう。しかし、全く食べないというのは良くありません。ご飯なら1日に最低でも茶碗半分程度は食べるのがおすすめです。ダイエット中ならビタミンB1や食物繊維が豊富な玄米に切り替えるのも良いでしょう。たくさん噛むため満腹感を得られやすく、腹持ちも良いのでおすすめです。
脂質に関しては、質の良い油を少量摂取してください。具体的には、不飽和脂肪酸に分類されるオリーブオイルやごま油などです。悪玉コレステロールを減らすはたらきがあり、血液をサラサラにしてくれます。一方で、タンパク質にいたっては筋肉量を維持するためにも減らす必要はありません。大切な内臓も筋肉でできているほどです。過剰摂取は逆効果となりますが、身体の健康を保つためにも低カロリー・高タンパクな食事が理想なのです。
低カロリーな鶏肉やボンレスハムをはじめとした肉類や、高カロリーな魚卵を除く魚類、1個あたり7gのタンパク質が摂れる卵は特におすすめです。また、生クリームなど高脂質なものを除いた乳製品も、ダイエット中の強い味方になってくれます。間食を低脂肪ヨーグルトに置き換えることでストレスの軽減にも役立ちますし、カルシウムを摂取することによりダイエット中のイライラを抑えてくれる効果も期待できます。
また、タンパク質をエネルギーに変えて代謝アップを期待するためには、ビタミン・ミネラルが必要不可欠です。果物や海藻、野菜を積極的に食べることで乾燥や肌荒れを防ぐなど、美容にもうれしい効果が期待できます。骨や歯の健康を保つなど、健康な体を構成するうえで大切な役割を担っているビタミン・ミネラルは、意図して摂取するようにしましょう。日常的に摂取するのが難しいようなら、サプリなどの健康補助食品を活用して栄養を補うのも良いでしょう。
ダイエット中は栄養をバランスよく摂取することが大切
痩せたい！という気持ちが強すぎて、無理な食事制限をするのはとても危険です。一時的に痩せることはできても、リバウンドの可能性が高まるばかりか健康を害する可能性さえも否定できないのです。栄養のバランスが取れてはじめて身体が正常に機能し、健康的に痩せやすい身体をつくることができます。美容と健康を保ちながらダイエットするためには、正しい食事と適度な運動を心がけましょう。
▼参考サイト
※1．【オムロン ヘルスケア】vol.103 11年ぶりに肥満症の診断基準が改訂
※2．【厚生労働省公式HP】日本人の食事摂取基準（2015年版）の概要
- ライタープロフィール
【Yoshida Ito】- 元バンドマンという経歴を持つアラサー女子。
9年間のバンド活動を終了した後は一般企業にて勤務、現在は専業ライターとして活動している。音楽や美容、ペット関連のコラムなどを多数執筆。某夢の国が好きで、過去には年間パスポートを所持・自ら勤務した経験も。趣味はカメラ・ライブ鑑賞・激辛グルメ巡り。
