意外と知らない?フィギュアスケートの採点方法とは

2016年8月4日

氷上の芸術、フィギュアスケート。18世紀のイギリスでクラブが設立したことをきっかけに競技として発展していったこのスポーツは、日本には19世紀の始めごろに伝わったといわれています。今ではフィギュア強豪国といわれる日本では毎年冬になるとテレビで大会の様子が頻繁に流れ、目にする機会は多いですよね。しかし大会や選手のことは知っていても、ルールのことを知っている人は案外少ないのではないでしょうか?冬のスポーツの代名詞ともいえるフィギュアスケートをより楽しむためにも、採点方法について知っておきましょう。

技術点と構成点

フィギュアスケートには審査員がおり、様々な観点から演技の採点が行われその点数によって勝敗が競われます。国際スケート連盟(ISU)の規定している採点法では技術点と構成点の2つの要素から合計点を導き出しています。
・技術点:基礎点とGOEの2つの合計によって算出されます。基礎点とはジャンプやスピン、シークエンスなど選手が実行したそれぞれの要素に対し1.その要素への入り方(踏み切りやタイミング)、2.回転数(ジャンプ時)、3.レベル(技に対する工夫)の3つから導き出されます。同じジャンプをしていてもレベルが異なれば点数に差が出てきます。そしてGOEとはGrade Of Executionの略で、各要素の出来栄えを-3~+3の7段階で評価します。
・構成点:しばしば「芸術点」と混同されることがありますが、芸術性の評価をするものではなく各項目について審判が判断するものです。構成点が優れていれば自然と演技が美しく完成されていきますから、「芸術点」と誤解されてしまうのかもしれません。審査項目は5つあり、シングル、ペアスケーティングの場合はスケート技術、要素のつなぎ、動作・身のこなし、振り付け・構成、曲の解釈の5つです。5項目の中で特に難しいのが「要素のつなぎ」で、これは「各要素をいかに美しく自然に結ぶか」という評価項目です。難しいジャンプや技の前にはどうしても助走や「ため」が必要になり、得点が伸びづらい項目なのです。

違反行為

フィギュアスケートでは演技中に禁じられている行為がいくつかあり、それらが見られた場合では上記の方法で算出された合計点から決められた点数が減点(ディダクション)されます。主な違反行為としては転倒(-1.0点)、時間の超過・不足(5秒につき-1.0点)、バックフリップ(後方宙返り)などの禁止されている要素(1つにつき-2.0点)、衣装に関する違反(-1.0点)などがあります。フィギュアスケートではこれらの採点を10名ほどの審判員が行っています。

緻密に計算された芸術!

アーティステックでダイナミック、時にロマンチックなフィギュアスケートの演技ですが、その評価にはこのような細々とした規定がいくつもあり、様々な観点から点数がつけられています。選手や監督、コーチたちはこれらの採点方法を十分に理解し、選手の最高得点を出せるように1つ1つの演技を創り上げているのです。華やかな舞台の裏には、完璧に計算された美しさが隠されていたのですね。

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