起業するなら株式会社?個人事業主?

2016年11月24日

いざ起業したいと考えたとき、株式会社などの法人を設立するか、個人事業主として事業をはじめるかで悩みますよね。そもそも法人と個人事業主それぞれのメリットとデメリットがわからないという方もいらっしゃると思います。そこで株式会社と個人事業主についてメリットとデメリットをまとめます。

起業するための手続き

株式会社を設立する場合、定款の作成・認証と設立登記が必要となります。これらの手続きをおこなうと25~30万円程度の費用がかかります。さらに税務署や都道府県・市区町村、労働基準監督署などにも届出が必要です。年金事務所に社会保険の届出も必要となります。社会保険に加入することで従業員の厚生年金保険料や健康保険料の半分を会社が負担しなければなりません。
一方、個人事業主として事業をはじめるのはとても簡単です。税務署に個人事業の開業届を提出するだけで費用はほとんどかかりません。従業員が5人未満であれば社会保険への加入も強制されませんので厚生年金保険料や健康保険料といった費用の負担もありません。

決算や税務申告

株式会社の決算と税務申告は複雑なため、税理士に委託するのが一般的です。その代わり税金の面で優遇されます。たとえば経営者の給料や掛け捨ての生命保険、9年前までの決算における赤字なども経費にできるため税金を軽減することができます。
個人事業主の場合、確定申告によって決算をおこないますので税理士に委託する必要がありません。ただし株式会社のように経営者の給料や掛け捨ての生命保険などを経費にすることができません。また過去の赤字は3年分(ただし青色申告のみ)しか経費にできませんので株式会社とくらべて税金を軽減しにくいといえます。

税金対策を考えるなら

個人事業主は日常の事務手続きが簡単で本業に専念しやすい反面、株式会社とくらべて経費をつくる余地がすくないため、税金対策には不向きといえます。株式会社は日常のさまざまな事務手続きが複雑になる一方、経費をつくることによって税金を軽減させやすいといった一面があります。また、個人事業主が納める所得税・住民税と株式会社が納める法人税の税率の違いも重要なポイントとなります。個人事業主が納める所得税・住民税は最高税率55%となりますが、株式会社が納める法人税の実効税率は最高で29.97%です。しかも法人税は今後ますます軽減されていく方向です。個人事業主としての所得税・住民税が高いと気になるようであれば、事業の法人化を検討してみるとよいかもしれません。

まとめ

結論としては、事業が軌道にのって多くの利益が得られるようになったら法人化によって税金対策をおこなうのが一般的です。ただし、個人事業主より株式会社の方が社会的信用を得やすいといった面があります。取引先によっては株式会社でないと取引できない場合もありますので、お金の面だけでなく取引先との関係といった社会的信用の面も視野に入れて株式会社の設立か個人事業主として事業をはじめるか判断するのがよいでしょう。

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