カフェ利用や民泊にも!古民家リノベーションで押さえたいポイントとは

2019年11月13日

古き良き日本の家づくりの魅力や、伝統的な暮らしの知恵を伝えてくれる古民家をリノベーションして、飲食店や民泊のための宿泊施設にしたいと考える人も多いのではないでしょうか。

特にインバウンドによる訪日外国人が増加する中では、古民家の魅力を再確認する動きが強まっています。ここでは、古民家をリノベーションするうえでの注意点や、実際にかかる費用、コストの抑え方までを詳細に紹介していきます。ぜひ、古民家リノベーションの参考にしてください。

リフォームとリノベーションの違い

リノベーションのほかにもリフォームという言葉がありますが、そもそもこの2つの違いはどこにあるのでしょうか。古民家リノベーションを知るうえでは、2つの言葉の違いを知ることが大切です。まずは、その違いを見ていきましょう。

リフォーム

リフォームとは、簡単にいえば、経年劣化などによる傷みや破損部分を修復して、新築の状態に戻すことを差します。つまり、マイナス状態からゼロの状態に戻すイメージです。

フルリフォームのような家全体を修復する大規模工事もありますが、機能回復の意味合いが強いので、たとえば壁紙を張り替えたり、キッチン設備を使いやすいように改善したりするような小規模な修復もリフォームにあたります。

リノベーション

一方でリノベーションは、現状の住まいに新しい価値や性能を付け加える意味合いが強いです。より現代的な居住スタイルにするために間取りを変更したり、耐震性や耐火性を高めるための補修を行ったりするのがリノベーションに該当します。

古民家の場合、古くから伝わる伝統的な構造が魅力の一方で、耐震性などを現代の基準に合わせなければならないため、リフォームではなくリノベーションを必要とするケースが多いでしょう。

古民家はリノベーションに向いている?その特徴とは

古民家の特徴を知れば、どのような部分を残しつつリノベーションするべきかが見えてきます。ここでは、その魅力に加え、古民家リノベをするうえでの注意点も見ていきましょう。

古民家の特徴

基本的に、古民家は木造のみの構造となっていますが、木造建築に多く使われるヒノキなどは、樹齢100年の場合、その強度は200~300年は変わらないといわれており、強度が下がるのも800~1200年先だとされています。

そのため耐久性に非常に優れており、加えて、新建材のようにシックハウスなどの原因となる物質が含まれていないので、健康面における心配事もありません。

また、「真壁」と呼ばれる、木材が直接外気に触れる構造により、湿気に強く腐りにくいのも特徴の一つです。そのほか日差しや雨雪から建物を守る軒や、いろりからの煙を逃がすための多数の勝手口など、機能性に優れながらも、特徴的なデザインが目立つのも、現代では大きな魅力として捉えられています。

古民家リノベの注意点

他方で、そのデザインがリノベーションの足かせになる場合もあります。古民家は、冷暖房がない時代に作られたものも多く、通気性に優れた構造になっています。 逆をいえば、断熱性があまり高くない家が多いのも事実です。ゆえに、断熱性を高めるリノベーションが必須といえます。

また、耐久性に優れているとはいえ、建設時代からいって、現代の耐震基準を満たしていないケースがほとんどです。木材のみの構造なので、耐火性もどうしてもコンクリートより劣ってしまい、耐震・耐火性を向上させる工事が必要になります。

かやぶき屋根などの伝統的な構造部分をそのまま残しつつ断熱材などを施工すると、さらにコストは膨れ、手間もかかるため、非常に大掛かりなリノベーションとなるでしょう。

古民家リノベにはどのような費用が必要か

古民家リノベにかかる実際の費用は、大体500~2000万円程度かかるとされています。3000万円ほどの大規模リノベーションを行う人も全体の15%にのぼりますが、どのような費用がかかるかを見ていきましょう。

断熱工事

前述の通り、古民家リノベにおいて断熱工事は必要不可欠です。家全体に断熱を施す場合も少なくありませんが、家全体に断熱加工をする場合、300~500万円ほどかかります。

予算から考えてそれほどの費用を充てられない場合は、窓に断熱加工するだけでも大きく変わります。窓の加工がもっとも断熱効果が高まるとされており、二重窓にするリノベーションであれば、10~15万円ほどで断熱工事が可能です。

耐震工事

耐震工事も断熱工事と同様、古民家リノベには必須です。耐震加工の度合いによって費用が変わるため、一概にはいえませんが、震度6強~7程度の地震に対しても耐えられるとされる耐震等級1の水準を満たすには、一般的な一戸建てで150~200万円かかるとされています。

ただし、耐震等級1の水準ぎりぎりに施工する場合は、震度6強~7程度の地震では損傷したり、倒壊したりしてしまう可能性がないとも限りません。より強い補強となる耐震等級2~3の水準に合わせると強度も上がりますが、その分当然費用は上がるので、留意しておきましょう。

トイレリノベーション

必ずしもそうとは限りませんが、トイレは和式であるケースが多いです。そのため、ウォシュレットの機能などが付いていない場合も大いに考えられます。リノベーションを遂げたあとの用途にもよりますが、家屋の機能性を考えると、ウォシュレットの機能が付いた洋式のトイレにするほうがなお良いでしょう。

トイレの種類によって金額はまちまちではありますが、大体20~40万円でリノベーションできます。

外壁・屋根リノベーション

外壁材などのリノベーションのほか、断熱性の向上や経年劣化を防ぐために、外壁や屋根塗装のリノベーションをする場合もあります。使用塗料などによって金額は変わりますが、外壁と屋根の塗装リノベーションを施工した場合の金額は、大体90~120万円です。

ただし、国が指定している塗料を使用すれば、助成金が受けられる場合もあります。積極的に利用してコストを抑えていきましょう。

古民家リノベでコストを抑える方法とは

場合によっては通常の中古物件をリノベーションするよりもコストが膨れがちな古民家リノベですが、この段落で、そのコストを抑える方法を見ていきましょう。

古材を使用して「古民家風」にリノベーション

物件自体は耐震基準などをクリアしている一般的な中古物件を購入しつつ、内装には、解体された古民家の木材などを使ったインテリアを利用すれば、古民家のような雰囲気は出しつつ、耐震工事などにかかる費用を抑えることができます。

さらに、物件の状態によっては、国からの補助金を受けやすくなったり、メンテナンスの頻度も少なくなったりするので、よりコストを抑えられるでしょう。

減税制度

固定資産税は固定資産税評価額×1.4倍によって算出されますが、築年数によって適切な減額がなされます。築年数が25年経っていれば固定資産税は評価額×0.2倍まで下がるため、古民家の多くは新築物件や中古物件より固定資産税を安く済ませられます。

また、耐震・断熱リノベーションを施したり、バリアフリー仕様にしたりすると、条件次第で所得税の減税措置を受けられるケースもあるので、それらの減税制度を利用するのも一つの手です。

補助金制度

詳細はそれぞれによって異なりますが、前述の通り、国や各自治体が指定する外壁塗料などの使用によって補助金が受けられるケースもあります。中には、古民家のリノベーションでしか受けられない補助金もあるほどです。

また、減税制度と同様に、耐震や断熱のリノベーションや、バリアフリー化によって補助金が出る自治体もあるので、どのようなものがあるか、古民家の所在地に従って各自治体の制度を 調べてみるのも良いでしょう。

まとめ

古民家はその独特で雰囲気のあるデザインから見ても、カフェでの再利用や民泊などに非常に向いているといえます。特に、訪日外国人が増加する中では、通常の住居としてではなく、ビジネスとして活用する人も少なくありません。

しかし、古民家リノベーションは、場合によってはコストが必要以上に膨れてしまうケースもあります。古民家風のリノベーションを目指したり、各種制度を利用してコストを抑えたりして、計画的に古民家リノベを楽しみましょう。

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あんちゃん

元アーティストマネージャー。一カ所平均1000人のホールツアーなどを実行。また、オウンドメディア構築のためのCMS販売営業経験もあり。現在は専業ライターとしてさまざまな案件に取り組みながら、FPと宅建士取得に邁進中。ビジネス著作権検定の資格を有する、趣味はギターのビートルズラバー。

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