商法とはなにか?一般人は知らなくてもよいのか?

2016年8月15日

商法という言葉をネット検索すると、「AKB商法」、「ももクロ商法」などという言葉が出てきますが、ここではそういったテクニックやノウハウなどのことではなく、商法という法律について考えます。商法という言葉の定義には、形式的意味と実質的意味があります。形式的意味とは、「商法」という法律のことを指します。実質的意味では、商法という法律のほかにも、会社法、保険法、手形法、小切手法なども含めた商売に関わる法律のすべての総称として使われます。

商法は民法の特別法

商法を学ぶうえで知っておかなければならないのが、商法は民法の特別法であるということです。簡単に言うと、民法が社会における幅広いルールを決めたものであり、商法はそのうち商売に関することについて特別に定められたものであるということです。
有名な事例が、債権の消滅時効でしょう。民法では、債権の消滅時効は10年と定められています。例えば、友人にお金を貸して、10年間何もしなかったら時効によって債権は消滅します。一方、慰謝料請求権などのまだ確定していない債権については3年で消滅する点に注意しましょう。例えば、夫が不倫をしていたら、不倫の事実を知った時点から3年で慰謝料を請求しなければ時効によって消滅します。しかし、裁判により「100万円の慰謝料を支払いなさい」といった判決が出たら、債権が確定するので、10年間は時効にかからないということです。
商法では、権利関係を迅速に確定する必要性があるので、商事債権の時効は5年と定められています。さて、ここで、民法では「債権の時効は10年」と定められていて、商法では「商事債権の時効は5年」と定められているなら、どちらが適用されるの?ということになりますが、この場合は特別法である商法が優先され、商事債権の時効は5年が正しいということになります。商法に定めのない事柄については、一般法である民法が適用されます。

商法は商人でなくても基本的なことは知っておいたほうが良い

商法は商売に関する法律ですので、商売をやっている人は知っておくべき法律です。法律では、知らなかったから罪を犯した、知らなかったから違反したという言い訳は通用しません。もちろん、日常生活では知らなかったという言い訳が通用しやすいですが、商売を営んでいるとお金のやり取りがありますから、知らなかったという言い訳は通用しにくいのです。
商売をやっているわけでもない一般人は、別に商法を知らなくても生活に支障が出るわけでもありません。しかし、相手の立場に立って物事を考えることは大切ですので、商売をやっている人がどのようなルールに従って商売をやっているのか、会社を運営するときにはどのようなルールがあるのか、といったことを知っていると何かしらの役に立つことがあるかもしれません。

まとめ

商法は商売をやる人は知っておかなければならない法律ですが、一般人は知らなくても特に損をするようなものでもありません。しかし、インターネットビジネスのように、個人が商売を始めることも増えています。クラウドソーシングの普及により、フリーランスという働き方が今後ますます増えていくと言われています。個人でビジネスを行うなら、関係している法律は知っておいたほうが良いでしょう。
また、商売をやっている人の中には悪質な業者も混じっています。悪質な業者の被害に遭わないためにも、基本的な知識については身につけておいたほうがよいと思われます。

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