いま、認められつつある家庭医という存在

2016年11月24日

欧米には家庭医という存在があります。家庭医とは専門の診療科を持たず、総合的な診療を行うお医者さんのことです。欧米では地域医療の制度が発達していて、住民は地域に登録された家庭医によって生涯に渡り面倒をみてもらうことになります。家庭医は、住民やその家族の身体的な健康のみならず精神的、社会的な側面までもサポートしてくれる総合診療医なのです。

欧米の家庭医と日本の家庭医の違いとは?

家庭医とは、日本でいえばかかりつけ医のことです。専門の診療科をもたず、小児科、外科、内科など総合的な診療を行います。 病気の種類や、年齢性別に関係なく対応してくれるのです。家族全員の面倒を見てくれて、病気になっていなくとも健康について役に立つアドバイスをしてくれます。日本のかかりつけ医と違うのは、その対応範囲の広さです。日本の場合は地域に根ざす病院であっても、どうしても内科ならば内科、小児科ならば小児科のみ、と専門診療になりがちです。しかし欧米の家庭医は、全科の総合的な訓練を受けています。大人から子どもまで、風邪をひいた人からケガをした人まで、さらには精神的な問題にさえも対応してくれる総合診療のスペシャリストなのです。
従来、日本の医療は専門性に偏っていたため、家庭医を育てる環境が整っていませんでした。しかし近年は家庭医療の価値が認められ、各地にいくつもの研修施設が生まれています。

家庭医は、地域住民を全人的にサポートしてくれる

家庭医はまず、家族全員の健康問題に対処してくれます。子どもから高齢者まで、インフルエンザやぎっくり腰、さらには禁煙の相談にまでも対応してくれるのです。また病気になったときの診療だけではなく、病気になる前の予防にも力を注ぎます。普通ならば病院に行かないようなことでも気軽に相談できますので、大事にいたる前に対処できる可能性が高まるのです。さらに家庭医は、患者の状況を見極め専門医の窓口にもなってくれます。自分ではどの病院の何科にいけばよいのか迷うようなときも、家庭医がいれば的確に判断してくれますので安心です。

家庭医が見つからない?経験豊富な医師をかかりつけ医にしよう

家の近くに家庭医療に対応した病院がある場合は、そこを利用してください。しかし前述したように日本の家庭医療の制度は、これから育ちつつあるというのが現状です。地域によっては、総合診療をしてくれる医師を探すのは難しい場合もあるでしょう。適当な家庭医が見つからない場合は、自分の住む地域で信頼のできる医師を見つけ、かかりつけ医として診療してもらいましょう。経験が豊富な医師ならば、家庭医に近い対応をしてくれます。家族ぐるみで世話になるかかりつけ医を見つけ、家族全体の健康を総合的に把握してもらえば、大きな安心を手に入れることができます。

家庭医は日本医療の未来を変える

家庭医は家族全員の健康を長きにわたり見守ってくれます。いち早く家族の異変に気づいてくれるのです。早期治療は病気の重症化を防ぐ基本です。医療の専門家に気軽に相談できるということには、大きなメリットがあるでしょう。また家庭医は予防医療にも力を入れています。とくに高血糖や高血圧、脂質異常などメタボリックシンドロームにつながる異常は、早めに的確に対処することで解消、予防することが容易となります。メタボは放っておけば重症化し、糖尿病や脳血管障害などの生活習慣病につながりますので、これを予防することは非常に重要なことになります。家庭医が予防医療に力を入れるということは、個人の問題解決につながるだけではなく、日本の国の医療費増大という問題を考えた場合、解決する糸口ともなることなのです。

まとめ

個人や家族の心身両面をケアし地域の予防医療にも貢献する家庭医は、日本の医療にとってぜひとも必要な存在です。現在はまだ発展途上の家庭医療ですが、近い将来、自分や家族の健康管理を担ってくれる家庭医を探すことが、あたりまえの時代が来るかもしれません。

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