薬剤師の転職には何が必要?転職活動を始める前にポイントチェック!

2018年1月25日
薬剤師の転職には何が必要?転職活動を始める前にポイントチェック!

働き方に満足していないときに頭をよぎるのが「転職」の2文字です。しかし転職には多大な労力と時間がかかる上、成功するとは限らないのが悩みどころでしょう。ここでは薬剤師が転職を成功させるために知っておきたいポイントをご紹介いたします。転職を検討されている方は、ぜひ転職活動を始める前に目を通してみてください。

薬剤師が転職するまでの簡単な流れ

自分の希望条件や職種の情報を集める

転職に先立ち、まずは自分がどんな条件で転職したいのか整理しておきましょう。年収、福利厚生、職種、勤務時間など、しっかり自分の希望条件を整理しておくことが大切です。また時間に余裕があれば調剤薬局や病院など、職種ごとの特徴についても情報収集しておくと、転職活動に役立ちます。(※1)

転職サイトに登録する

転職の希望条件が固まってきたら転職サイトに登録しましょう。転職サイトへの登録は、基本的に大手の人材紹介会社が運営しているところのみにするのがおすすめです。小規模な紹介会社では案件1つ1つに対してしっかりヒアリングできていない可能性が高く求人数も少ない傾向にあります。ただあまり多くのサイトに登録しすぎてしまうと、連絡が頻繁になりすぎて対応が回らなくなりますので2~3社へ登録する程度で十分です。(※2)

求人紹介から面接まで

自分の条件に合った求人が見つかれば応募して採用面接に臨みましょう。転職サイトに登録しておくと専任の転職エージェントにより面接や書類作成のアドバイスが受けられます。(※3)

採用が決まったら退職・入社準備

採用が決まったら入社に向けての準備を開始しましょう。在職中の方は引き継ぎがスムーズに行くように引き継ぎスケジュールを確認して引き継ぎ資料を作成する必要があります。前の職場に迷惑をかけないようしっかり引き継ぎを行うようにしてください。(※4)

薬剤師の届け出を忘れないよう注意!

薬剤師は、薬剤師免許証の届け出内容に変更があった場合、届け出を行う必要があります。また保険薬局や調剤併設型ドラッグストアで勤務する場合は、保険薬剤師の届け出が必要です。
薬剤師の届け出は、2年に1度、12月31時点での氏名や住所、その他厚生労働省令に定められた事項について、1月15日までに行うと薬剤師法第9条にて規定されています。もし届け出を行わないと、薬剤師法第32条により50万円以下の罰金が科せられるとともに、薬剤師資格確認検索システムへの登録が抹消されてしまいます。届け出は転職の際だけではなく休職からの復職時にも必要です。採用側が本人情報確認のために検索システムを利用する場合もありますから、求職活動や復職の前には薬剤免許証や届け出の内容をしっかり確認するようにしてください。もし不明点や何らかの事情で届け出を行えない場合は、最寄りの保健所に電話して相談しましょう。(※5)

薬剤師の転職!職種別の注意点

中小薬局や門前薬局への転職の場合

中小薬局や門前薬局へ転職する際の大きな注意点は基本的に従業員が少人数であることです。固定のメンバーと常に顔を合わせなければなりませんから自分と合わない人が1人でもいるだけで大きなストレスになりがちといえます。特に上司などの目上の方と相性が合わないと業務がスムーズに進行しなくなるリスクもあるでしょう。また従業員が少ないため個人に重い責任が負わされる可能性もあります。大手の転職エージェントは職場の雰囲気も把握している場合がありますので、職場の人間関係などでも不安に思う部分は相談しておくようにしましょう。(※6)

病院への転職の場合

総合病院や単科クリニックへの転職を希望される方は「専門的な知識を身につけたい」「しっかりした経験を積みたい」と考えている方が多いのではないでしょうか。確かにこれらの病院勤務では調剤薬局やドラッグストアでは得られない病院薬剤師としての経験を積めます。しかし成長したいという向上心のみで転職先を決めてしまうと、いざ働き始めてから職場環境や業務内容に悩まされがちです。いくら職場環境が良くても休みが取りにくかったり看護師や医師への接し方が分からなかったりするといった問題があると、業務内容にも支障が出てしまいます。転職の際は「自分がしたいこと」に加え、職場の条件として譲れないもの(福利厚生、報酬額、人間関係など)をまとめておくと良いでしょう。(※7)

企業への転職の場合

製薬メーカーに転職する場合、MRや研究職などの選択肢があります。ですがMRは高収入である一方、営業職であるためコミュニケーションスキルは必須です。また毎月営業ノルマが課せられるため、ノルマへのプレッシャーもあります。研究職を希望する方は、大学や大学院で研究してきたことを生かしてもっと深い研究がしたいと希望を持っている方が多い傾向です。しかし企業ではいくら希望して上層部へプレゼンをしても、希望の研究を行えない可能性もあります。企業で働くときは、まず企業の方針に従わなければなりません。企業で働き続けるために「必要なスキルは何か」「その企業の方針が自分の希望と合っているのか」などをしっかり確認してから転職を決めるようにしましょう。(※8)

薬剤師に転職する場合

公務員薬剤師は収入が安定していて身分も保証されるため、転職で希望される方も少なくありません。しかし公務員薬剤師は給料が低めで、定期的に異動や全国転勤があるなどのデメリットがあります。また、公立病院以外の勤務先では調剤スキルを生かせずスキルダウンしてしまい、公務員薬剤師から民間へ転職する場合に調剤スキル不足から転職先の選択肢が少なくなる可能性もあるのです。地方公務員であれば自治体により待遇が変わりますので転職前の事前調査は欠かせません。とはいえ公務員ならではの退職金や基本給のベースアップによる将来性の高さ、勤務時間や日数などは大きな魅力です。公務員薬剤師の採用枠は少ないですが経験者枠もありますので、希望する方は諦めずに求職活動を行ってみてください。(※9)

薬剤師の転職サイトを利用するメリットやデメリットとは?

転職サイトを利用するメリット

専任の転職エージェントが転職をサポート!

転職エージェントとは薬剤師の転職サイトに登録すると転職をサポートしてくれる人のことです。コンサルタントやコーディネーターと呼ばれる場合もあります。転職サイトに登録すると通常専任の転職エージェントがついて転職活動が終わるまで、その活動をサポートしてもらえます。また転職エージェントへの報酬は、転職希望者が入社した企業から支払われるため、転職希望者は無料で利用可能です。(※10)

非公開求人に応募可能!

薬剤師の転職サイトを見ると一般公開されていない非公開求人があることに気がつきます。これは転職サイトに登録して転職エージェントを経由しなければ確認できない求人情報です。非公開求人にはサイトに登録しなければ閲覧できないため好条件であっても「比較的求人倍率が低い」「条件次第では公開前の求人も閲覧できる」「公開求人よりも好条件の可能性が高い」といったメリットがあります。(※11)

求人検索や条件交渉の手間が省ける

在職中や育児中の方は、転職を希望していても転職活動に十分な時間をかけられない場合もあります。しかし転職エージェントに希望を伝えれば希望通りの求人を検索してもらいやすく、サイトによっては書類作成を代行してくれることもあります。また年収や年間休日日数など自分から直接行いにくい条件交渉も転職エージェントが代行してくれる点は大きなメリットです。転職面接の日程調整なども行ってもらえますので、なかなか転職活動に時間が取れない方でも安心して転職活動が行えます。(※12)

転職サイトを利用するデメリット

個人情報を登録しなければならない

転職サイトを利用するには住所、氏名、年齢、薬剤師免許などの個人情報を登録しなければなりません。もちろん転職サイトの運営を行っている企業は、厳重に個人情報の管理を行っていますので個人情報流出のリスクはほとんどありません。また在職中の方は、現在の勤務先に転職活動中であると伝わる心配も少ないでしょう。(※13)

転職エージェントの都合が優先される場合も

転職エージェントへの報酬は給与が高い求人ほど企業側からの報酬が増える傾向があります。そのため、転職エージェントによっては転職の希望条件に合うかどうかではなく、とりあえず給与の高い求人をすすめてくる可能性もあります。いくら給与が高くても条件に合わなければ転職後に苦労するだけです。転職エージェントの言葉を鵜呑みにするだけではなく、求人内容をしっかり自分で確認するようにしましょう。(※14)

薬剤師が転職に失敗する代表的な原因

転職目的が明確になっていない

自分で転職先を決めて入社したにも関わらず、いざ働き始めると違和感があったり、転職前よりも就労環境や収入が悪化してしまったりするケースがあります。その大きな原因は転職目的を明確にしておらず、目的に合わせた求人検索ができていなかった点にあります。例えば、収入アップを目的に転職活動を始める方も多いですが、収入アップを目指す理由や求める年収額が具体的になっていない場合も多いのです。家事や育児の合間に少しでも収入を得るために就職先を探すのか、正社員としてより良い待遇を求めて転職するのかでは、求人内容に大きく差が出てしまいます。転職を成功させるためには、まず自分の求める報酬額に対して、適切な労働条件や環境が整っているのか、しっかり見極めなければなりません。(※15)

理想の職場を追い求めすぎてしまう

転職理由が「もっと自分の力を発揮できる職場があるはず」「機会があれば自分はもっと上手くやれる」などのように、上昇傾向と思い込みの強い方にありがちな転職の失敗原因です。このような傾向にある方は、「自分の力を最大限に発揮できて正当に評価される」理想の職場を追い求め続け、仕事が上手くいかない原因を自分以外に求めます。しかし自分の理想がすべて叶えられる職場は現実的にはほとんどありません。理想の職場を目指して短期間の転職を繰り返し、結局何のスキルも身につかなくなってしまう場合もあります。転職さえすればすべて上手くいくわけではないと最初に認識しておくようにしましょう。(※16)

プライドが高すぎる

年齢が高く社会人経験を積まれた方にありがちな理由がプライドが高すぎることです。新しい職場に移っても自分より年下から指示されたり仕事を教わったりすることを嫌うため、なかなか職場になじめなくなってしまうのです。また自分のやり方を押し通そうとして新しい職場のルールに従わず職場の業務全体を滞らせてしまう場合もありがちといえます。転職する際は、1から新しい職場で学び直そうという素直な気持ちで仕事に取り組むようにしたいところです。(※17)

薬剤師の転職は自分の希望条件を整理することから始めよう

なんとなく職場に満足できないからという理由で転職活動を始めてしまうと、転職活動に時間がかかってしまいかねません。さらに転職後も「こんなはずじゃなかった」と後悔する結果に終わりがちです。まずは、しっかりと自分の希望条件を整理することから始めてみてください。なかなか希望条件がまとまらないときは、これだけは絶対に避けたいという条件を書き出してみるのも良い方法です。求人サイトに登録すれば自分の希望条件に合う求人を紹介してもらえるだけではなく転職活動のさまざまなサポートも受けられます。利用できるものは最大限活用して転職を成功につなげましょう。

※1:【ファーマシストライフ】http://www.onenationworkingtogether.org/job-change
※2:【ファーマシストライフ】http://www.onenationworkingtogether.org/job-change【薬剤師・転職相談室】http://dora3.jp/jobsite/
※3:【ファーマシストライフ】http://www.onenationworkingtogether.org/job-change【薬剤師転職の神様】http://89314career.com/agent/0920/
※4:【ファーマシストライフ】http://www.onenationworkingtogether.org/job-change【ファーマシストライフ】http://www.onenationworkingtogether.org/51806
※5:【COCO Pharma】http://www.pharmama.net/post-1022/【薬剤師のお仕事探し】http://yakuzaishi-area.com/todokede.html
※6~8:【HOP!薬剤師】http://www.hop-job.com/pharmacist/post-2067
※9:【薬剤師転職navi】https://yakuzaishi-navich.com/jobcat.php?archive_id=7
※10:【薬剤師転職の神様】http://89314career.com/agent/0920/
※11:【Carrier Field】http://pharmacist.carrier-field.com/merit/【薬剤師転職の神様】http://89314career.com/agent/0920/
※12:【薬剤師のための年収アップ・転職ガイド】http://pharmacist-guide.net/archives/1321【薬剤師転職の神様】http://89314career.com/agent/0920/【Carrier Field】http://pharmacist.carrier-field.com/merit/
※13:【薬剤師のための年収アップ・転職ガイド】http://pharmacist-guide.net/archives/1321
※14:【薬剤師転職の神様】http://89314career.com/agent/0920/
※15:【HOP!薬剤師】http://www.hop-job.com/pharmacist/post-2067
※16:【薬剤師の仕事研究室】http://yakuzaishiharowa.com/advice/advice_mistake.html
※17:【薬剤師の仕事研究室】http://yakuzaishiharowa.com/advice/advice_mistake.html

ライタープロフィール
TAKAI Yuka
【TAKAI Yuka】
2007年~2010年まで製薬企業にてMRを経験した後、本社学術部へ異動。2014年まで医師や患者向けパンフレット・資料などの作成に携わる。その後、夫の海外転勤に伴い会社を退職し、在宅ワークとしてクラウドソーシングを始める。現在は、海外駐在しながら医療・健康分野のライティングをメインに活動中。
Print Friendly, PDF & Email

関連記事

Top