薬剤師の転職活動に向けて

2018年1月25日

一般の職業に比べて遥かに高い収入を得られる薬剤師ですが、そこに至るまでに費やした費用や時間は計り知れません。それなのにいざ働いてみると、薬剤師という名前がついていても、実際に薬を処方するのは医師なので、今までの苦労が割に合わないと嘆く方が非常に多いです。でも視野を広げれば待遇も良く、やりがいのある職場はたくさんあります。理想の仕事を見つけるために、どのような事に気を付ければいいのでしょうか。

薬剤師が転職したがる背景

他人が考えた処方を患者に伝える薬剤師の仕事。実際に薬剤師の仕事の殆どの決定権は医師が持っています。薬剤師は指示通りに淡々と動く事を要求されます。例えば薬の専門家のはずなのに、薬の一包化・粉砕、ジェネリック医薬品に変更する時等は医師の了解を得なければなりません。

そもそも薬剤師の業務は処方箋のチェック・調剤・服薬指導の決まった流れの中で、人為的ミスによる危険を未然に防ぐ事に特化しています。しかし調剤薬局勤務ではカルテがないまま服薬指導をするため、情報が満足に入らない上に自分で処方していない事から十分な説明ができず、患者の不満や不安を十分に取り除けない事があります。

必死に猛勉強をして偏差値の非常に高い薬学部の大学に入り、さらに必死に6年間勉強をして卒業して、難関の国家試験を通過してやっとなれた憧れの職業なのに、現実の仕事を知って幻滅した方が多いのが薬剤師の現状です。

薬剤師の活躍の場所はたくさんある

そのような日頃の不満が募り、転職をお考えの薬剤師の皆さんには、もっと視野を広げて貰いたいです。先程のような業務は薬剤師の定番の職場である病院薬剤師や調剤薬局、ドラッグストア勤務の話。少し探せば薬剤師の活躍の場は他にいくらでもあるのです。例えば製薬会社や大学で基礎研究を行う人、MR等、自分で考えて動く事も求められる業務から引く手数多です。中でも安定感が売りの公務員は、転職を考えている薬剤師にはお勧めの職場といえます。

地方公務員であれば、都道府県庁、保健所、衛生研究所や消費者センター等で働く事ができます。薬学職として都道府県庁に入ると、化粧品や医薬部外品の製造販売に対しての相談や許可、立ち入り検査・指導を行ったりします。保健所に入った場合は、新規薬局の開設を許可したり、薬物乱用防止活動に取り組んだりします。

また薬事衛生のみならず、環境衛生・食品衛生の分野も任される事があります。国家公務員になれば厚生労働省等で国家の薬事行政・法令作りに携わる事ができます。麻薬取締官や食品衛生監視員のような特殊な職業も薬剤師ならではの仕事です。

転職に当たって準備する事

まず転職するに当たって考える事は、「何故今の職場を辞めるのか?」です。給与が少ないからなのか。仕事内容・人間関係で辞職するのか。
この先どんなキャリアを積んで、どのような将来性・人生設計を考えているのか。自分が求めている職場環境はどういうものなのか。良く考えて下さい。
隣の芝生は青く見えるものなので、動機をはっきりさせない限り、再就職しても歯車が噛み合わず、後悔してしまいます。

求める職場を確信できた時、安定の公務員を目指すのであれば、国家公務員であれば国家1種・2種の高倍率の試験を、地方公務員であっても都道府県や政令指定都市等が行う試験を突破しなければなりません。今直ぐにでも試験対策をし、勉強を始めて下さい。

そうでない場合は、まず薬剤師の転職サイトや求人サイトに登録し、履歴書と職務経歴書を準備しましょう。この時資格欄に薬剤師以外の、認定薬剤師、漢方薬・生薬認定薬剤師、ケアマネージャー、英語力を証明できる検定等があると、真新しい職場に出会える可能性が広がるので、求める仕事に合わせて取得する事をお勧めします。

病院薬剤師への転職を希望の方は、給与面に優れ、最先端で多様な業務がある国立病院勤務をお勧めしますが、倍率が高く正社員の空きがなかなか出ないので日頃からチェックする必要があります。

家事・育児等で長い間仕事から離れていた方は、薬剤師の届け出をきちんとしていたか確認が必要です。2年に一度、提出を義務付けられています。勤務していた時は会社が一括して取りまとめてくれる所が多いので、離職してから届け出を忘れている方が大勢います。本来は罰則があるものなので、復職する方はしっかり届け出を済ませましょう。

求人票に騙されない事

新しい職場は本当に良い所なのか、それは実際に働いてみなければわかりません。それでも失敗しないために、アンテナは敏感に張っておきましょう。特に鵜のみにしてはならないのが求人票です。

まず残業代込みの年収を提示している所があるので注意しましょう。そのような所は一見して高額ですが、裏を返せばそれだけの残業をさせられる事でもあります。中間管理職、管理薬剤師として採用されると役職手当が新しくつくものの、残業手当がつきません。病院薬剤師の場合は単純な残業以外にも、業務時間外で勉強会や講習会にも参加しなければなりません。

「未経験者歓迎・ブランクオッケー」の謳い文句にも注意が必要です。確かに採用には問題ないですが、教育研修がない所もあるので、初体験の業務に行き当たりばったりで取りかかる羽目に遭います。これは不器用な方には大きなプレッシャーです。また人間関係を重視している方は「アットホームな雰囲気」のキャッチフレーズで選びがちですが、本当にそうなのかは分かりません。

このような実情を予め把握するためにも、薬剤師転職サイトに登録して、非公開情報・内部情報をしっかり調べる事が大事なのです。

まとめ

就職までの道のりが苦しかった分だけ、待遇面や仕事内容に幻滅する方が多い薬剤師。しかし初めての職場が薬剤師の仕事の全てとは限りません。見渡せば自分に合う、薬剤師としての素晴らしい仕事・職場がたくさんあります。薬剤師転職サイトに登録し、自分自身の準備と情報集めをしっかり進めて、希望あふれる転職活動を進めて下さい。

▼参考サイト
※1.【薬剤師転職JAPAN】薬剤師の転職、注意点として挙げられること
※2.【mixiコミュニティ】薬剤師届出
※3.薬剤師が転職するために必要となる準備
※4.【All About】薬剤師のお仕事 公務員編(1)
※5.【薬剤師の仕事研究室】なぜ薬剤師の仕事はつまらないのか

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