食事だけで大丈夫?妊娠初期に摂取すべき葉酸の効果的な摂り方

2018年1月31日

「葉酸」は妊娠中に積極的に摂取したい栄養素として注目されています。特に妊娠初期にはしっかり摂る必要があります。葉酸にはどのような効果があり、普段の食事からどのくらい摂取できるのでしょうか?葉酸の効果的な摂取方法をよく知って、これからの妊娠生活に備えましょう。

葉酸とは

葉酸は、炭水化物や脂質、タンパク質の代謝に関わるビタミンB群の一種で、細胞を一からつくり出す時に欠かせない栄養素といわれています。(※1)お腹の中で赤ちゃんを育てていく妊娠期は、まさに細胞がつくられる時です。その重要度は2002年に母子健康手帳に葉酸の必要性が記載されたことからも分かります。(※2)

葉酸には、人の体の基礎である遺伝子(DNA とRNA)の合成や細胞分裂を助けるほか、細胞の生産・再生を促進する作用があります。また、子宮内の血流を促して造血する作用もあるため、子宮内膜の質が向上します。すると、子宮内膜の厚さも増して安定し、受精卵が着床しやすくなるのです。(※3)そのため、葉酸は妊娠する前から摂取し始め、妊娠中も継続していくことが推奨されています。

葉酸が不足するとどうなるの?

妊娠初期は、女性の体で排卵が起き、その後に受精した受精卵が着床し、細胞分裂がさかんに行われる時期です。胎児の器官形成が始まる時であるとともに、先天性の疾患を招く危険が高まる時でもあります。その中には、葉酸不足が原因で引き起こされる異常が少なくありません。

葉酸が不足することで起こる先天性異常として代表的なものに「二分脊椎症」があります。二分脊椎症は脊髄破裂とも呼ばれており、神経系で重要な役割のある脊髄の形成に生じる異常です。葉酸の摂取により、この二分脊椎症の発症リスクを約70パーセント減らすことが研究から証明されています。(※4)

また、葉酸不足は母体の健康にも害を及ぼします。胎児へと血液が多量に送られる妊娠中は血液が不足しやすく、造血作用のある葉酸が十分に摂取できていないと、貧血を起こしてしまうことがあります。貧血になったら鉄剤を飲むなどして治療しますが、鉄剤は胃に負担がかかったり便秘になりやすくなったりするため、あらかじめ葉酸で貧血を予防しておくことが好ましいでしょう。(※3)

葉酸は食事だけで足りるの?

葉酸は1941年に初めてほうれん草から検出されました。他にも、緑黄色野菜、レバー、豆類に多く含まれています。また、葉酸入りのパンなども販売されており、食品から摂取することが可能です。女性に必要な葉酸摂取量は、妊活中なら0.4mg(400μg)、妊娠中なら0.44mg(440μg)ですが、食品の葉酸は体内への吸収率が低く、水や加熱に弱いため、かなり多くの量の食品を毎日食べ続けなければなりません。(※1)

しかも、レバーはビタミンAの過剰摂取による胎児の先天性異常が心配されますので、あまりたくさん食べることはおすすめしません。そのため、毎日の食事だけで十分な量の葉酸を摂取するのは難しいでしょう。ましてや、妊娠初期はつわりで食べ物を口にできなかったり偏食になったりしますので、食事からの葉酸の摂取はあまり期待できません。

葉酸サプリは妊娠初期におすすめ

つわりで満足に食事ができず食生活が乱れがちな妊娠初期ですが、葉酸はしっかり摂取しなければなりません。そんな時は、サプリメントを利用すると食事よりも手軽かつ効果的に葉酸を摂取することができます。葉酸サプリメントにはたくさん種類がありますが、一般的なサプリメントに含まれる葉酸は体内に吸収されやすいように成分が調整されています。

加熱の必要もないため、熱による喪失の心配もありません。ドラッグストアやネットショップで購入することができますが、産婦人科でも処方してもらえるところがありますので、希望する場合はかかりつけ医に問い合わせてみると良いでしょう。

葉酸を摂取する際の注意点

毎日の食事とサプリメントで葉酸不足が補えるからといって、ただやみくもに摂取すれば良いというわけではありません。他のどの栄養素にもいえることですが、葉酸も摂取量には上限があります。葉酸の1日あたりの摂取量の上限は1mgと定められています。これは、葉酸の過剰摂取によってビタミンB群が多量に補給され、ビタミンB12欠乏症が診断しづらくなる恐れがあるからです。(※4)

ビタミンB12欠乏症も貧血や胎児の発育障害の原因になりますので、注意が必要です。また、長期に渡る過剰摂取で「葉酸過敏症」が引き起こされ、発熱、じんましん、かゆみなどの症状に悩まされることがあります。(※5)過剰摂取による悪影響を避けるため、葉酸を摂取する際はきちんと用法・用量を守りましょう。

また、葉酸には一緒に摂取すると葉酸の吸収を妨げてしまうものがあります。緑茶に含まれるカテキンやカフェイン、亜鉛などです。とはいえ、これらも体に必要な栄養素であり、特に亜鉛は妊娠中の体に欠かすことのできないものです。葉酸摂取のために完全に排除してしまうことはできません。葉酸と他の栄養素とのバランスを考えながら、どちらも適度な摂取を心がけましょう。

▼参考URL
(※1)【一般社団法人 葉酸と母子の健康を考える会】葉酸とは
(※2)【DHC公式オンラインショップ】葉酸30日分
(※3)【マイナビウーマン子育て】葉酸を効果的に摂取する4つの秘訣とは? 産後・授乳中も大切な理由
(※4)【COCOMAGA】超妊娠初期の重要性と超妊娠初期に葉酸を摂るべき理由
(※5)【マイナビウーマン子育て】葉酸は摂りすぎちゃダメ? 過剰摂取による悪影響とは

ライタープロフィール
chimpa
【十和】
生保外交員、生保事務の職を経験した後に結婚し、主婦に転身。2010年より在宅ライターとして仕事を始める。子どもの幼稚園や学校のPTA役員を4期務め、市P連理事も経験。趣味は音楽鑑賞、DIY、カラオケ。特技はドラム演奏。
得意な執筆分野は、育児、妊娠・出産、インテリア、DIY、美容・サプリメント等。女性目線&ママ目線の記事を執筆。
Print Friendly, PDF & Email

関連記事

Top