食事だけで十分?妊娠初期に必要な葉酸の摂り方

2018年1月30日

妊娠中には自身だけでなく、赤ちゃんの成長にも気遣った栄養素を摂取する必要があります。その中でも葉酸は非常に重要な栄養素です。しかし、葉酸はどのように摂取するのがいいのでしょうか。今回は妊娠初期に必要な葉酸と、その摂取方法について説明します。

妊娠初期に必要な栄養素

赤ちゃんは胎盤を通じてママから栄養をもらって成長するため、妊娠中の食事には特に気を付ける必要があります。胎児の発達に悪い影響を与える可能性のあるアルコールを控え、カフェインもほどほどの量にしておくのがいいと聞いたことがある人もいるでしょう。それだけでなく、普段の食事にも注意が必要です。バランスのとれた食事を基本とし、赤ちゃんの成長だけでなく出産に挑むため自身の体作りもしなければいけません。

妊婦に必要な栄養素のひとつには「鉄分」があげられます。妊娠中は貧血になりやすく、ふらふらして転ばないためにもしっかりと鉄分補給をしましょう。鉄分は小松菜や大豆製品などにも多く含まれていますので、比較的摂取しやすい食品であるともいえます。植物性の鉄分であればビタミンCと一緒に摂取することで体内への吸収が良くなります。
また「カルシウム」も妊娠初期には積極的に取っておくべき栄養素です。胎児の歯や骨は母体のカルシウムを使って作られます。そのため妊婦はカルシウムが不足しやすくなり、カルシウム不足は高血圧にもつながってしまいます。

さらに血液や筋肉を作るのに重要な「タンパク質」も欠かせません。必須アミノ酸がバランスよく含まれた良質のたんぱく質を摂取することを心がけ、妊婦の体作りのためにも妊娠後期までしっかりとタンパク質を摂取するのがおすすめです。
以上の栄養素は健康な生活を送るため、普段から気にしている人も多いでしょう。しかし、妊娠時に注目しなければいけない栄養素には「葉酸」もあります。特に妊娠初期に葉酸が不足してしまうと神経管閉鎖障害のリスクが高まるとも言われ、妊婦にとって欠かせない栄養素であるともいえるのです。

葉酸不足が引き起こす先天性異常のリスク

欧米を中心に疫学研修がすすめられている先天性異常の病気のひとつに「二分脊椎症」というのがあります。この病気は本来脊髄の管の中にある神経が精髄や精髄の外に出てしまう神経管閉鎖障害であり、胎児が母体にいる間の何らかの原因によっておこります。二分脊椎症がひどい場合には足の麻痺や変形の可能性もあり、膀胱や直腸に影響を及ぼすことで排泄障害を引き起こすこともあるのです。そのうえ二分脊椎症の半分以上は水頭症を合併することでも知られています。二分脊椎症のリスクを少しでも軽減させるためにはビタミンBの一種である葉酸を摂取することが推奨され、諸外国において妊娠を望む女性には妊娠前からの葉酸の接種を推進してきました。

日本でも食生活の多様化や諸外国の実績データから2000年に労働省の呼びかけによって、妊娠する可能性のある女性への葉酸の摂取が呼びかけられるようになっています。妊娠前や妊娠初期にしっかりと葉酸を摂取することで、二分脊椎症といった神経管閉鎖障害のリスクが30%まで下がるといわれているのです。厚生労働省が発表している葉酸を1日に摂取すべき目標は400μg(0.4mg)以上であり、妊娠中だけでなく授乳中も摂り続けることが推奨されています。

葉酸はどうやって摂取すればいい?

葉酸を多く含む食べ物は主に野菜や柑橘類、レバーなどがあり、これらを積極的に食事に取り入れることで葉酸は摂取できます。野菜中心の食事を心がけ、普段から野菜を多く食べるという人にとっては比較的クリアしやすいともいえるでしょう。しかしながら野菜をあまり食べない人や外食が多い人は、積極的に葉酸が多く含まれた食事を摂るように心掛けるのがおすすめです。
ただ、食事から摂取できる天然の葉酸の約半分は体内に吸収されません。これは天然の葉酸は水に溶けやすく加熱にも弱いうえ、胃酸によって分解されてしまうという特徴があるためです。

そのことから、厚生労働省は天然葉酸が体内で使われる率を50%であると発表しています。そのためどれだけ頑張って摂取しても食品からは約半分の葉酸しか体内に吸収されません。また熱にも弱いため、調理方法によってはさらに体内に取り込まれる量が減ってしまうのです。そういった理由から、葉酸の摂取にはサプリメントが推奨されています。葉酸の含まれたものは厚生労働省において特定保健用食品として認められ、確実に摂取することがすすめられているのです。また、妊娠中はつわりや体調が悪くなることも多く食事がとれなくなることが考えられます。そういった時でもサプリメントであれば摂取しやすいといえるでしょう。

ただ、葉酸は摂れば摂るほど病気のリスクが低くなるわけではありません。葉酸を過剰に摂取しすぎることでビタミンB12欠乏症の診断がしにくくなってしまいます。そういった理由から厚生労働省では葉酸の摂取は一日1mgにとどめるよう注意を促しているのです。一日の容量をしっかりと守ることも健康な胎児を育てるためには重要であるといえるでしょう。

まとめ

胎児を先天性異常の病気から守るため、妊婦は積極的に葉酸を摂取する必要があります。しかしながら天然の葉酸は体内へ取り込まれにくいため、サプリメントも上手に取り入れるのがいいでしょう。つわりで食事がとれない時期であってもサプリメントであれば確実に葉酸が摂取できますので、積極的に活用するのがおすすめです。

▼参考サイト
※1.【こそだてハック】葉酸の多い食品・食材20選!妊婦が摂りたい食べ物とは?
※2.【mamamoko】妊娠初期に必要な栄養素と注意したい栄養素は?おすすめ食材6選

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