妊娠初期に必要な葉酸の摂取は食事で十分?

2018年1月29日
妊娠初期に必要な葉酸の摂取は食事で十分?

母子手帳にも摂取についての記載があるなど、特に妊娠初期の摂取が勧められているのが葉酸ですが、なぜ摂取が勧められているのでしょうか。その理由と、葉酸を多く含んでいると言われている食品、サプリメントの使用について紹介します。

葉酸の働きについて

妊娠初期に葉酸が必要とされる理由として、無脳症、二分脊椎などの神経管閉鎖障害のリスク軽減が挙げられます。神経管閉鎖障害とは脳や脊随のもととなる神経管と呼ばれる組織の形成がうまく行われないことが原因で起こる先天性の神経障害です。このリスクの軽減に効果があると数多くの研究で明らかにされているのが葉酸です。そのため妊娠1カ月から3カ月頃の妊娠初期に葉酸を摂取することが勧められています。妊娠初期の中でも神経管閉鎖障害の原因となる神経管は、妊娠後およそ28日で完成すると言われていますが、妊娠かもしれないと気づき病院に行く頃には神経管が形成された後になることも考えられるので、妊娠を希望する頃からの摂取を心がけることが勧められています。

また妊娠初期の流産の原因として、神経管閉鎖障害によって脳や脊髄が上手く作られないことが挙げられます。そのため葉酸の摂取は先天性異常の流産を予防する効果があると言われています。またノルウェーの研究では、妊娠初期の葉酸摂取で子どもの自閉症のリスクを軽減する効果があることも分かっています。このように胎児にとってメリットの多い葉酸ですが、この他にも貧血やつわりの軽減にも効果があるとも言われており母体にとってのメリットが多いことも、妊娠初期の葉酸摂取が勧められている理由です。さらに葉酸は妊娠初期だけでなく、産後には母乳の出を良くしたり、抜け毛予防や産後うつにも効果があるとも言われているので妊娠中だけでなく産前産後に必要不可欠な栄養素です。

食品から摂取するには

厚生労働省による一日当たりの葉酸摂取目安量は240μgとされていますが、妊娠中の目安量はその二倍の480μgとされています。

葉酸を多く含む食材として、枝豆・ほうれん草・ブロッコリーのような緑黄色野菜、いちごやマンゴーのような果物、納豆や豆腐といった大豆製品、海藻、肉類全般といった身近にあり日頃から食べている食品が挙げられます。しかし肉類のレバーには葉酸の他にビタミンAが多く含まれており、ビタミンAの一日目安摂取量を超えてしまう可能性があるのでレバーからの葉酸摂取は避けた方が良いとされています。

葉酸はゆでたほうれん草100gあたり110μg、ブロッコリー100gあたり120μg含まれていると言われています。しかし熱に弱いといった特徴があるので長時間お湯でゆがくと溶け出してしまいます。そのため軽く炒めたり、電子レンジを使って短時間で蒸すなど調理方法に気を付ける必要があります。またビタミンB・Cと一緒に摂取することで吸収率がアップするので、食べ合わせに気を付ければ食事から効率的に葉酸を摂取することが出来ます。

サプリメントの導入について

先ほど葉酸の一日目安摂取量が480μgであることを紹介しました。特に妊娠中には胎児の丈夫な歯や骨のような身体を作るために、葉酸だけでなくカルシウムやたんぱく質、リン、ビタミンA・C・Dのような栄養素もバランス良く摂取する必要があるので食事だけで十分な量を摂取することは難しいです。妊娠初期にはつわりの症状があり十分に食事を取れない場合もあります。さらに食品に含まれる葉酸は吸収してもその半分しか利用されないといった特徴があるので、うまくサプリメントに頼りながら葉酸を摂取することをおすすめします。

厚生労働省でもサプリメントや強化食品の形で葉酸を摂取することを推奨しています。しかしサプリメントでの葉酸摂取は効率的ですが過剰摂取しても効果がアップするわけではないので、一日摂取量を守って使用しましょう。また、購入の際には添加物や混合物、含有成分もチェックしましょう。

葉酸サプリの効果を十分にするためには、摂取するタイミングが重要です。摂取するタイミングとして食間と就寝前がおすすめです。その理由として、食間は胃の中に物が少なくより吸収率が上がること、就寝前には肝臓の血流が低下し成分が多く血液の中に吸収されやすい状態になることが挙げられます。葉酸は水溶性のビタミンなので一度に大量に摂取しても全てを吸収することが出来ず、吸収出来なかった分はそのまま排出されてしまいます。そのため、食間や就寝前のタイミングなど一日に何回かに分けて摂取しましょう。また、亜鉛やカフェインと一緒に摂取すると吸収が阻害されてしまいます。サプリメントを飲む場合には、素早く胃に届けて十分な効果が得られるようにコップ一杯の水で飲むことをおすすめします。

まとめ

妊娠初期に葉酸が必要とされる理由として神経障害や流産などのリスクを軽減するなどの胎児へのメリットや、貧血、つわりの軽減といった母体へのメリットがあることを紹介しました。しかし葉酸は食事からの十分な摂取が難しいのでサプリメントを上手く使用しながら他の栄養も十分に取れるようバランスの良い食事を心がけましょう。

▼参照URL
https://iku-labo.jp/premama/4611/
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1550.html
http://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1446

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