犬との暮らしで知っておきたい病気。その症状は!?

2018年2月1日

犬との暮らしは楽しいことがたくさんあります。しかし、犬にも人間と同じようにさまざまな病気があり、体調を崩してしまうとなにかと大変。なにより、病気にかかって苦しんでいる姿を見るのは辛いものです。そこで、気になる犬の病気についていくつかピックアップして説明します。

時には命を失うこともある!予防できる犬の感染症

人間でも風邪やインフルエンザなど、ウイルス感染で発症する病気があります。犬にも特定のウイルスによって引き起こされる病気があり、症状は病気によってさまざまです。例えば、ケンネルコフとも呼ばれる犬伝染性喉頭気管炎(アデノウィルス2型)は、発熱・咳といった人間の風邪と同じような症状が出ることから、犬の風邪と呼ばれています。

同じアデノウイルスでも、1型ウイルスが引き起こすのは犬伝染性肝炎と呼ばれている感染症です。肝炎を発症するため黄疸が出ることがあるほか、吐く・下痢をするなどの症状が現れます。また、犬パルボウイルスによって引き起こされる犬パルボウイルス感染症の特徴は、悪臭を伴った激しい下痢や嘔吐です。血便が出ることもあり、重症化すると死にいたることもある感染症です。

一方、同じ犬パルボウイルス感染症でも心筋炎型といわれるタイプでは、嘔吐などの症状が現れたのち、呼吸困難を起こして突然死してしまう場合もあります。犬ジステンパーウイルスによって引き起こされるジステンパーは、初期には食欲や元気がなくなり、高熱やくしゃみ・鼻水などが出て一見風邪のような症状です。ただ、重症化すると脳にまで炎症がおよび、震える、痙攣するという症状のほか、歩行困難のような運動失調を起こします。死亡率も高く、猫やフェレットなど犬以外の動物にも感染する可能性がある病気です。

ここに挙げた犬の感染症は、子犬や免疫力が低下している老犬などがかかると重症化して死亡するケースもあります。ただ、あらかじめ混合ワクチンの接種を受けることで予防することが可能です。

犬を飼うなら知っておきたい!蚊に刺されてかかるフィラリア症

犬糸状虫症とも呼ばれるフィラリア症は、蚊が媒介することによって犬の心臓に線虫の一種である犬糸状虫が寄生する病気です。フィラリアの成虫が心臓に寄生すると心臓に負担がかかり、血液の循環も悪くなります。初期や寄生している成虫の数が少ないときはほとんど症状が現れないこともありますが、感染が進むと喉になにか引っかかったような乾いた咳をしたり呼吸が荒くなったりします。

また、少し運動しただけでも疲れやすくなるため、散歩に出かけることや階段を登るのを嫌がることも。末期になると、むくみが出る、腹水が溜まる、失神するという症状が出るほか、他の内臓にも影響をおよぼすようになります。さらに、本来フィラリアの成虫は右心室から肺動脈に寄生していますが、なにかの拍子に後大静脈に移動してしまうことがあるのです。そうなると、血尿や呼吸困難の症状が出て突然死することもあります。(※1)

発症段階から末期までさまざまな循環器系・呼吸器系の症状が出てくるフィラリア症は、確かに怖い病気です。また、蚊に刺されること自体も完全に防ぐことはできません。寄生した成虫を駆除する治療もありますが、重症化すると成虫を駆除するような根本的な治療は困難な場合もあり、心臓の働きをサポートする薬を服用するなど対症療法が中心になります。しかし、フィラリア症は毎月1回予防薬を飲ませることで防げる病気です。予防薬は錠剤や顆粒、チュアブルなどいくつかの種類があり、体重に応じて処方されます。

特定の犬種や年齢で注意しておくべき病気もある

感染症やフィラリア症はどんな犬でも感染する危険性があります。しかし、犬の病気のなかには特定の犬種や体型などに多く見られる病気もあります。例えば、足の長さに比べて胴の長さの比率が大きいミニチュアダックスは背骨に負担がかかりやすく、背骨と背骨の間の椎間板が潰れたり変形したりする椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種です。椎間板ヘルニアを発症すると痛みがあるため、散歩や階段の登り下りをしたがらなくなります。悪化すると麻痺が起こり、排尿困難・感覚麻痺などに症状が進んでしまいます。

一方、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーをはじめとした大型犬で発症することが多い病気として、股関節形成不全があります。大腿頭骨の突部分が骨盤のくぼみにうまくはまらず、足を上げたり引きずるようにして歩いたりする症状が現れ、悪化すると歩行困難になってしまう病気です。原因としては、遺伝によるものがあるほか、成長期の栄養摂取や運動など環境要因が影響をおよぼしているともいわわれています。(※2)

また、犬も年を取ってくると人間と同じように、さまざまなところが悪くなってきます。特に小型犬が高齢になってくると発症しやすいのが僧帽弁閉鎖不全症をはじめとする心臓病。僧帽弁閉鎖不全症は心臓の左心房と左心室の間を区切っている僧帽弁がうまく閉じずに血液が逆流する病気です。ほかにも、腎臓病や白内障など高齢になると発症率が高まる病気があります。(※3)もちろん、これらの病気はその犬種や年齢に当てはまらないから大丈夫というわけではありません。どんな犬でも発症する可能性はあるため、おかしいと思ったら動物病院で診てもらうようにしましょう。

犬もがんになる!治療法はあるの?

日本人の死亡原因として大きな割合を占めるがん。ただ、がんは人間だけの病気ではなく犬にもあり、犬の死因でも1位だといわれているほどです。(※4)しかも、皮膚がんやリンパ腫、乳腺がんなど人間と変わらないくらい多様です。昔に比べると病気の予防が進み、生活環境が良くなったことで犬も長生きできるようになりました。

ただ、高齢化が進んだことでがんを発症する率も高くなる傾向があります。しかし、動物医療も日々進歩しているため、手術や化学治療のほか、免疫療法や放射線治療まで受けられるようになってきているのです。もちろん、専門的な治療はまだまだすべての動物病院で受けられるわけではありませんが、人間と同じような治療が受けられるようになると希望があります。

定期検診も受けながら様子が変だと感じたら早めに病院へ!

今回挙げた病気のほかにも、犬がかかる病気はいろいろあります。ただ、犬は人間と違って症状や苦しさを言葉で表すことができません。また、ペットとして人間に近いところで生活しているとはいえ、人間よりは野生動物に近く、痛みや辛さを表に出さないこともあります。

そのため、何も悪いところがなくてもできれば定期健診を受け、予防できる病気は予防しておくことが大切です。定期的に健診を受けていると病気を早期発見できる可能性が高く、早期発見できれば治療も負担をかけずに済みます。少しの変化に気づいてあげられるのは、いつも一緒にいる飼い主さんです。日々の健康管理を大切にしながら、少しでもおかしいと感じることがあれば、早めに動物病院で診てもらって適切な対応をするようにしましょう。

▼参照URL
※1【アイリスペットどっとコム 犬といっしょ】犬のフィラリア症
※2【FPC株式会社エフ・ピー・シー】股関節形成不全
※3【わんペディア】犬の僧帽弁閉鎖不全症
※4【PETOKOTO】犬のがんの症状や原因、治療費や食事、予防法まで【がん認定医が解説】

ライタープロフィール
sachinoko
【sachinoko】
動物病院で8年勤務したあと、化粧品販売店と不動産事務所で営業事務および経理事務を担当。のちに宅建を取得し、現在は主婦のかたわらWebライティングをしている。
経験を活かしたジャンルを中心としながらも、幅広く興味を持って執筆したい。さまざまな人の意見に触れることのできるアンケートまとめ案件も好き。
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