交通事故の示談交渉を徹底解説!示談金交渉で損しないためのポイントとは

2018年2月27日
交通事故の示談交渉

車を運転している人でなくても、どんなタイミングで交通事故に遭遇するかわかりません。交通事故を起こしたり巻き込まれたりすると、避けては通れないのが示談です。示談の内容次第で支払い・受け取りの金額が決まるため、適切な対処法を知らないと損をしてしまうリスクがあります。また、示談で合意が得られないと裁判にまで発展し、金銭的に打撃を受けるだけでなく、社会的な評判まで落としかねません。

本記事では、示談とは何か、誰がいつから交渉するのかなど、示談の知識を説明しつつ、損をしないための対処法を紹介していきます。

交通事故の示談とは?示談交渉の基礎知識

示談とは、加害者と被害者の間で、事故で発生した損害の支払い金額を決めるための交渉・手続きのことを言います。

その内訳として、怪我の度合いや入院費、車の破損状況、休業による損失金、死亡の場合は葬儀の費用などが挙げられます。法律的には和解契約と呼ばれるもので、双方の合意がないと成立しません。また、示談の内容は一度取り決めたらやり直しがきかないという特徴があります。示談で合意に至らない場合、裁判になるのが一般的です。

示談交渉の相手は誰?

示談交渉は必ずしも、被害者と加害者が直接行うとは限りません。

むしろ、任意保険に加入する人が多い昨今では、保険会社同士の交渉が多くなっているため、加害者側が自分の加入する保険会社に交渉を依頼するケースが大半です。被害者側は加入している任意保険会社に依頼しますが、保険が使えない場合などは個人で交渉を行うことになります。

その場合、被害者側は百戦錬磨の保険会社の担当者が示談の相手になるため、交渉は個人で対応するのではなく強いサポートを求めるのが賢明です。示談担当者から法律の知識、過去の事例などを引き合いに出されても、一般人では太刀打ちできません。法律の専門家を代理に立てて渡り合ってもらうことで不利にならずに済みます。

示談はいつから行うの?

交通事故を起こしたとき、示談は「いつまでに始めなければならない」というルールがありません。そのため、被害者と加害者が「示談金額を決められるタイミング」から示談交渉を始めることになります。

たとえば、死亡事故の場合、葬儀までに被害者側の損失内容や費用が確定するため、葬儀後に交渉開始が可能です。ただし、遺族の心情考慮も必要なのでタイミングには注意しましょう。

人身事故なら、治療が完了して「症状固定」がなされたタイミングで交渉を始めるのが一般的です。症状固定とは、これ以上治療を続けても回復の余地がなくなった状態を指します。人身事故は、症状固定と決まるまでに入院や通院が生じるので、交渉の開始時期が長期化する傾向あります。

物損事故では、損害額が決まったタイミングから示談が始まります。およそ、事故後1カ月以内が目安になるでしょう。

交通事故の示談金の内訳と決まり方

示談金の金額はケースバイケースです。事故の損害規模や被害者の精神的苦痛に応じて、被害者と加害者の間で示談金の協議がなされて決定します。この段落では、示談金の定義と、金額がどのように決まるのかを説明していきます。

示談金の計算と過失割合

示談金とは、「慰謝料」と同じものと思っている人もいるかもしれませんが、両者は似ているようでまったくの別物です。示談金とは、交通事故後の「示談交渉」で合意された金額を意味します。慰謝料はあくまで示談金の一部であり、被害者の「精神的苦痛」に対して支払われる額を指します。

示談金の計算には基準はあるものの、「合意にいたった金額」のため、それぞれ異なることから相場というものはありません。被害者が提示額に納得できなければ、示談金は釣り上がっていく可能性があります。交通事故では、加害者が100パーセント悪いと断定できる「0:100」のケースを除き、「過失割合」を元に「過失相殺」された金額が支払われるのが常識です。「被害者と加害者で過失の大小はあったとしても、両者に何らかの過失はあったはずだ」とする原則が貫かれています。

示談金の内訳

「示談金」は、さまざまな費用から構成されています。大きく分けると、「財産的損害」と「精神的損害」に分かれます。

財産的損害とはつまり、被害者が受けた経済的な損害のことです。財産的損害には、「積極的損害」と「消極的損害」があります。積極的損害は、交通事故によって余儀なくされた支出であり、「治療費」「入院費」「車の修理費」のほか、死亡事故の場合は葬式費用なども含まれます。

一方、消極的損害は、「交通事故に遭ったことで消えた収入」です。交通事故によって入院した間に、会社から支払われなかった給料などは消極的損害にあたります。これらに対して、交通事故が生んだストレス、トラウマなどが精神的損害です。精神的損害は慰謝料として補償されます。

慰謝料を決める3つの基準

精神的苦痛の定義は曖昧であるため、被害者の主観だけを根拠にしていると慰謝料の交渉は難航しがちです。そこで、慰謝料には3つの基準が設けられており、それぞれに照らし合わせながら妥当な金額が定められていきます。

まず、「自賠責基準」では、法令で決められた最低限の補償が保証されます。次に、「任意保険基準」は自動車保険会社が独自に設けている基準です。任意保険基準を引き合いに出すと、自賠責基準よりも多くの補償が受けられる可能性が高まります。そして、「弁護士基準(裁判所基準)」は、裁判所の判例などを参考にして設定された基準です。自賠責基準や任意保険基準よりも慰謝料が高額に設定されることが多くなるのが特徴です。被害者は、事故の状況や後遺症などを3つの基準にあてはめて、加害者に慰謝料を請求できます。

示談交渉の流れと手続き

事故が起きても、すぐに示談交渉に入るわけではありません。交渉の前に、事故の処理としてやらなければいけないことがたくさんあるからです。示談交渉は正しい手順で行いましょう。ここからは、事故発生から示談成立までの流れを解説していきます。

1:事故発生

事故が起きたら、まず警察に連絡するのが先決です。交通事故は「交通法」によって裁かれる行為なので、警察に記録を取ってもらう必要があります。また、加害者、被害者ともに「過失割合」が重要になるケースがあるため、任意保険に加入している場合は保険会社へ連絡しましょう。怪我や違和感を覚える場合は「人身事故」として処理されているか、後日「交通事故証明書」で確認するのが賢明です。この書類は、警察の記録から交通事故があったと証明する書類です。

人身事故と物損事故では、警察や保険会社の対応が変わってきます。たとえ物損事故で処理されていても、後日診断書を持って警察署へと出向けば、人身事故に切り替えてもらえます。

2:損害確定

事故直後から示談交渉までには損害確定が行われます。事故に遭った被害者は、入院や通院、死亡の場合は葬儀など、損害を確定するための重要な出来事が続きます。これらの出来事を経て、被害者は財産的損害や怪我の程度を把握できるのです。そのため、外傷に限らず少しでも違和感がある場合は医師の診断を仰ぐようにしましょう。

治療が長期化すると、加害者側の保険会社から「治療費の打ち切り」や「症状固定」を打診されがちです。しかし、これらの打診は「治療費の軽減」を目的に行われています。急いで「症状固定」をしてしまうと、それ以降の費用を請求できないこともあるため、慎重に対応しましょう。気が進まなければ無理に応じる義務はありません。

そして、後遺障害が残った場合は「後遺障害の等級認定」を受けます。もちろん、交通事故は一方が極端に悪いケースばかりではなく、お互いに過失がある場合だと、事故直後から保険会社を通じて「過失割合」の調整が発生します。

3:示談交渉

治療費、入院費、後遺障害等級の認定などが出そろったら、それらを元に示談交渉が行われます。示談は一度決定するとやり直しがききません。双方にとって納得がいく条件で合意できるよう、妥協せずに交渉を続けましょう。

示談交渉で、スムーズにいかない傾向があるのが過失割合です。過失については、被害者と加害者で意見が食い違うことが多く、話は平行線を辿りがちです。過失の大きいほうがより多くの賠償を背負わされるため、なかなか結論は出ないと覚悟しましょう。

あまりにも話がまとまらないようなら、弁護士に相談するのも1つの方法です。示談金の慰謝料の基準は、弁護士基準が最も高額になるケースが多いので、弁護士に相談すると示談金が高くなる可能性もあります。

4:合意(示談成立)

被害者と加害者、双方が合意することで示談は成立します。保険会社との交渉だと、相手側の保険会社から免責証書(示談書)が送られてくるので、捺印・返送すると成立します。1~2週間程度で口座に示談金が振り込まれ、全ての手続きは完了です。

示談で不利にならない・スムーズな解決のために押さえておきたいポイント

交通事故の示談は注意しないと不利になってしまうことがあります。わずかなミスや焦りで多額の示談金を支払うことになった、示談金が少なくなってしまったというケースも少なくありません。ここでは、示談交渉が不利にならないために気をつけたいポイントを紹介していきます。

1:示談交渉は急がないこと

被害者、加害者の双方にとって、示談交渉は急がないことが肝心です。特に治療中の被害者だと、治療が終わったタイミングで交渉を始めてもまったく遅くはありません。示談交渉は「いつまでに終わらせるべき」という明確なルールがないため、症状固定を待ってもいいでしょう。後日になって症状が出たときに示談が終わっていても、治療費は加害者に請求できません。まずは、怪我が完治するように集中しましょう。

加害者も、示談交渉を急かすほど被害者に悪印象を与えてしまいます。「症状固定する前に安い金額で示談金を払ってしまいたい」と画策しているように映るからです。そもそも、治療中の被害者にプレッシャーをかけるメリットはないので、示談交渉は時間に余裕ができてから行いましょう。

2:保険会社の言いなりにならないこと

保険会社は慣れているぶん、示談交渉をスムーズに進めてくれます。ただし、被害者側は相手方の保険会社の言いなりにならないよう注意しましょう。示談や治療状況、症状確定を急がされることもありえます。はっきりと「もう少し時間をください」と要求を払いのける意志を持ち、相手のペースに乗らないようにします。

保険会社から提示された示談金の内容や金額、元となる過失割合なども入念にチェックしましょう。少しでも納得がいかない場合には保留にして、弁護士に相談することも考えるべきです。保険会社は一般人を論破する技術には優れていますが、同等以上の法律知識を持っている相手には強く出られないからです。

3:状況はしっかりと伝えること

交通事故については、どんな些細なこともきちんと伝え、見落としや記録漏れが起こらないようにしましょう。

まず、身体面の報告です。医者や保険会社には、自分の身体がどのような状態か、少しでも違和感があるならすべて記録をとってもらいます。後から症状が出たときに「事故直後はそんなこと言っていなかった」と反論されないためです。

次に、事故状況についても細かく保険会社や警察に証言しましょう。過失割合に関わるため、可能な限り正確に伝えるのが肝心です。ドライブレコーダーがある人はすみやかに提出すると、より確実な情報を提供できます。

示談交渉は弁護士へ相談すると有利に

示談交渉は複雑な内容になるため、専門家へ依頼するのが理想です。特に、被害者側はいきなり保険会社を相手にすることもあります。少しでも不安な場合は、無料相談ができる事務所もあるので、まずは気軽に連絡して信頼できそうな弁護士を探しましょう。本格的に依頼するときは、交通事故が得意・専門の弁護士を選ぶのが大切です。

弁護士へ相談するメリットとデメリット

示談交渉で弁護士を頼るメリットは「示談金額が増額できるケースが多い」ことです。示談金の設定は弁護士基準が最も高くなるうえ、一般人では気づかなかった「請求できるポイント」も教えてくれます。また、法律面での的確なアドバイスが受けられるので、交渉や証言において失言するリスクを避けられます。何より、事故を起こした相手や保険会社とコンタクトを取らなければならない心理的負担が軽減するのは大きいでしょう。

一方、弁護士に依頼するデメリットは「依頼費用がかかること」です。物損事故や軽度の人身事故だと、依頼費用のほうが示談金額よりも高くなるケースがあります。ただし、依頼費用は依頼前に見積もりをもらえるので、「示談交渉が終わってから損をする」という事態は避けられます。

弁護士費用の相場

示談交渉の弁護士費用は事務所により異なりますが、以下が目安です。

まず、「相談料」は5,000円~1万円で、30分から1時間の相談に乗ってもらえます。相談は事故の状況を話し、アドバイスをもらう時間であり、相談をしたからといって必ず弁護に依頼しなければいけないわけではありません。示談交渉を依頼すると、着手金として10~20万円を支払います。この金額は、示談結果がどうであれ依頼者の手元には返ってきません。示談が成立後、報酬金として「15~20万円+回収額の10パーセント」が発生します。

示談金が高くなるほど弁護士の報酬も高くなる仕組みなので、多くの弁護士は熱意を持って示談交渉に挑んでくれます。なお、相談料や着手金を無料にしている事務所もあります。連絡する前にホームページなどで調べてみましょう。

示談交渉の秘訣は損害が大きいほど弁護士へ依頼するのがオススメ

交通事故の被害者は保険会社というプロを相手にするため、弁護士などのサポートを受ける方が安心です。小さい事故は自力で早急に片付けるのもよいですが、弁護士を通せば示談金の金額を増やすこともできます。これは、加害者側も同様で、被害者側に強力な弁護士の後ろ盾がある場合、保険会社が妥協することで必要以上に負担が大きくなってしまうケースもあります。

重大な事故になれば自力では手に負えないくらい交渉は複雑化しますので、示談交渉のポイントを押さえつつも、被害者・加害者共に納得のいく示談にするためにも弁護士への依頼も選択肢に入れて交渉に臨みましょう。

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ご相談や示談金診断は無料で行いますので、ぜひ一度お問い合わせください。

 

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