申告義務と納税義務の関係とは?金融資産運用に関する納税で知っておきたいこと

2016年8月15日

個人が金融資産運用によって利益を得た場合は、所得税などが課税されます。そのため、金融資産への投資を行う場合は、投資のノウハウを学ぶと同時に、課税ルールや納税ルールについても理解しておくことが必要です。

申告納税と源泉徴収を理解する

金融資産投資によって得た所得には、所得税などが課税されます。所得税は原則として申告納税方式が採用されていますので、納税額を自分で計算し納税することが義務付けられています。しかし、個人が投資を行う場合の納税手続きの簡略化などのため、各種の源泉徴収制度や納税義務の免除制度も用意されています。
源泉徴収とは、所得が発生した場所で税金が徴収され納税は税額を預かった企業などが代わりに行う制度です。例えば、預金利子の税金は源泉徴収され、課税関係は完了しますので申告不要で納税は完結します。また、配当所得は、源泉徴収が行われますが、徴収される税額は仮の税額ですので、原則として申告納税が必要です。ただし、金融機関の特定口座内で行われた取引に関しては、申告不要とし、源泉徴収をもって課税関係を完結できます。株式や投資信託の売却益も同様に特定口座内で源泉徴収ありのオプションをつけておけば源泉徴収をもって納税義務は果たしたことになります。
(国税庁「特定口座制度」https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1476.htm

納税額がなくても申告が必要な場合がある

特定口座内の取引で生じた所得は源泉徴収が行われ、申告不要とすることもできますが、あえて申告することもできるとされています。この点を理解して投資を行うと節税できる可能性があります。
例えば、株式などの売却損が発生した場合、それだけ見れば所得が発生していないため納税義務はなく申告する必要もありません。ただし、損失をあえて申告することにより、他の株式等の譲渡所得や一定の配当所得、さらには債券の売却益などと相殺することができます。結果として譲渡益を減らすことができますので節税できます。また、同じ年内で相殺しきれない損失は、翌年以降3年間繰り越すこともできます。このような節税効果を得たい場合は、納税義務がなくても申告すると良いでしょう。
(国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1474.htm

まとめ

金融資産への投資は上手に利益を得ることも大切ですが、その利益を最大化するためには、申告や納税に関する知識も必要です。節税できる知識があれば、利回りをより大きくできる可能性が広がります。投資をする場合は、投資対象銘柄の研究や市場分析だけでなく、税制に関する研究も怠らないことをおすすめします。

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