起源は薬?ジンはヘルシーなスピリッツ

2016年11月24日

ウォッカ、テキーラ、ラムとともに、世界4大スピリッツの一つに数えられる「ジン Gin」。ジンなくしてはカクテルは作れないとも称され、数多くのジン・ベースカクテルが人々の喉を潤しています。それは小説や映画の小道具としても欠かせない存在です。ビールやワインなどの醸造酒と比べると、アルコール度数も高めです。お酒に強い人たちがストレートで飲むような、ハードなお酒というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかしながら、その起源を紐解けば、もともとは実に健康的な飲み物であったことがわかります。

薬として生まれたジン

ジンの原料はウォッカなどと同じ、大麦、ジャガイモ、ライ麦などです。これらを蒸留してできた原酒に、名前の由来ともなっている、ジュニパーベリー Juniper berry(和名、セイヨウネズ)などの香りをつけて再蒸留します。すると無色透明なジンが生まれます。なお、ウォッカも同じように無色透明ですが、白樺の炭で濾過するために香りに癖がなくなってしまう点が違います。このジュニパーベリーを用いてジンを最初に製造したのは、17世紀オランダのライデン大学医学部の教授のフランシスクス・シルビウスでした。当初は、解熱・利尿作用を持つ薬として薬局で売られていました。その後、ジュニパーベリーの爽やかな香りと低価格は人々の知るところとなり、薬の枠を超えて広まっていったそうです。

ドラマの名脇役にもヘルシーな由来が

物語の小道具としてカクテルが登場するとき、数あるカクテルのベースとしてジンの名前が挙がることが多くあります。小説や映画のワンシーンではジン・ベースのカクテルが持つ「切れのある辛み」が、その場の雰囲気を暗示する象徴的なアイテムとなっているようです。映画にもなったレイモンド・チャンドラーの小説『長いお別れ The Long Goodbye』(小説は1953年、映画は1973年)では、ギムレットが効果的に使われています。ギムレットはジンとライムジュースをシェイクしたショートカクテルです。ここでは「ギムレットには早すぎる」という台詞も有名になりました。ちなみに、このギムレットも19世紀末のイギリス海軍の軍医によるレシピがその起源とされています。毎夜配給されるジンを嗜む将校たちの健康を考慮して、ライムジュースによるカクテルを提案したものが現在のギムレットとなりました。

まとめ

宴会が続く春の歓送迎会や年末の忘年会シーズンなどに、過度の飲酒を自己弁護したいときに「酒は百薬の長」ということわざを思い出してしまうことがあります。ジンに関してはまさにその通り。正真正銘の薬として作られました。また、代表的なジン・ベースのカクテル誕生の背景にも、医学的な見地からのアドバイスがあったのです。だからといって飲み過ぎは控えましょうね。

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