奥深い自然美の世界「盆栽」を楽しもう

2016年11月24日

日本人なら誰しも聞いたことがあるであろう「盆栽」。その見方や楽しみ方を、ご存知ですか?奥深い盆栽の世界に、一歩踏み込んでみましょう。盆栽の魅力を知れば知るほど、きっとあなたも虜になるはずです。

盆栽とは

盆栽は平安時代に日本に伝わった園芸文化です。自然界で植物が作りだす風景を、器の中で再現する事に重きを置いています。この点が植物の特性を引き出しながら、生き生きと自由に成長する過程を楽しむ、一般的な鉢植えとの大きな違いでもあります。いかに器の中に、堂々とした樹木や気品ある草花の風景を落とし込むか。その自然界での姿を縮小、再現するために様々な技巧を凝らすことも、盆栽の楽しみ方のひとつとなっています。このように、盆栽の楽しみ方には、「鑑賞する」ことと「育てる」ことがありますが、今回は「鑑賞」方法をご紹介します。盆栽を鑑賞するときにみるべきポイントは、根張り、幹、枝葉、時代を感じる演出、の4つです。

根張り、幹、枝葉の見方

山に生えている大木や、神社の御神木など、堂々とした存在感を示す老古木の根元をみると、隆々とした根張りをもっています。自然界の風景を再現する盆栽においても、この根張りは大切なポイントです。樹木の大きさに対して、安定感のある根の張り方になっていると、評価が高くなります。基本的には、「八方根張り」という、四方八方に伸びている形が良いとされていますが、樹形によって理想となる形は変わります。
次に、幹をみるのにあたって、最も重要視されているのが、根元から最初の枝、すなわち一の枝までの「立ち上がり」とよばれる部分です。この立ち上がりが、その樹木の個性をいかに表しているかをみます。幹がまっすぐに伸びる直幹木では、力強く、偏らずまっすぐ伸び出している形が理想的です。また、立ち上がりから幹の最頂部にかけて、ゆるく波打ったような模様をえがくものを模様木といいます。模様木においては、幹がゆるやかな曲線を生み出しているのかをみるのです。また、形だけでなく、幹肌もポイントとなります。ウメなどでは、経年の風情を感じる荒れ具合、ヒメシャラやサルスベリであれば、絶妙な光沢加減が評価の対象となるのです。また、枝葉をみるには、「枝配り」という枝の配置が大切な見どころとなります。根元から最初の枝である一の枝や、そのすぐ上に位置する二の枝の配置は、その樹木の基本となり、樹形において大きなポイントになります。また、葉の美しさもみてみましょう。きちんと手がくわえられ、整理された小葉は盆栽ならではの自然美を味わうことができます。

時代を感じる演出をみる

盆栽において大切なことのひとつに、古さの表現があります。いわゆる「時代」とよばれるものです。幹の荒れ具合なども大切ですが、器選びも重要なポイントになります。使い古されたような雰囲気の器を使用すれば、それだけで年季の入った盆栽を表現することができます。また、表土に苔を張るといった演出も効果的です。歴史を感じさせるような工夫がされているかもチェックしてみましょう。

まとめ

鑑賞するときにみるポイントをご紹介してきましたが、難しく感じる方はまず自分が、「その木の下に立って、木を見上げたらどんな風景がみえるだろう」ということを想像してみることから楽しんでみてはいかがでしょうか。上記の点に注目して名木を鑑賞するうちに、感性は磨かれていきます。伝統ある文化に触れて、植物の美しさを是非感じてみてください。

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