節約よりも効果アリ!?攻めと守りの両方で貯金を増やす方法

2018年1月25日
節約よりも効果アリ!?攻めと守りの両方で貯金を増やす方法

「どうすればお金を殖やすことができるのか」ということに関心があるけれど、私たち日本人はお金に対して良いイメージを持っていないことが多く、家族や友人と話をすることも少ないのではないでしょうか。しかし、お金というテーマは生活と切っても切り離すことのできないものです。堅実にお金を殖やすための方法を考えてみましょう。

なんのためにお金を貯めたいのか考えてみよう

手元に残るお金を殖やすには、支出を減らす方法と収入を増やす方法があります。支出を減らす方法として最も効果があるのは、日々の節約に加えて固定費の見直しをすることです。家、通信費、保険など比較的金額の大きいものを見直すだけでもかなりの効果を実感できます。

収入を増やすためには、スキルアップのために資格を取得したり職場の昇進試験を受けたりすることや、副業が考えられるでしょう。貯金を殖やすには、毎月の収入から一定額を自動的に振り分けるという方法が効果的です。しかし、お金を貯めたい人はまずは何のためにお金を貯めたいのか考えることが大切です。お金はあるほうが良いに決まっている、そう考える人もいることでしょう。

しかし、お金を貯める目的をはっきりさせておかないと、お金を殖やす手段を決められません。人生の三大支出は、住宅、教育、老後の生活費といわれています。そのためには、どんなライフプランを描きたいのか、ぼんやりとでも良いので道筋を作っておくことが必要です。まずは、住宅は賃貸なのか持ち家なのか、子どもを持つのか持たないのか、定年のある仕事をするのか生涯できる仕事をするのかについて考えてみましょう。そして、それぞれのライフイベントをどれくらいの時期に予定しているかを考えてみます。それによって、お金の優先順位と必要な時期、金額が自ずと決まってくるでしょう。

賛否両論も損得で考えるなら賃貸にメリット

住宅購入資金に必要な頭金は、住宅資金の2割が適切だといわれています。頭金の準備は冒頭に述べたような方法のほか、一定の金額まで利子が非課税の財形住宅貯蓄を利用するのがおすすめです。住宅設備や間取りが充実した賃貸物件はまだまだ多くはないので、自分の好みに合った家に住める持ち家のメリットは大きいでしょう。

また、同じ金額を支払っても賃貸は何も手元に残りませんが、持ち家の場合はローンを完済した後は資産になることも魅力だといわれてきました。住宅を賃貸にするのか持ち家にするのかについては考え方が分かれるところですが、日本の状況を考えると今後は賃貸のほうが有利だと考えられます。日本の人口は2008年からすでに減少の局面に入っており、2020年以降は世帯数も減少するとされています(※1)。

日本の住宅の耐用年数は22年なので、35年ローンを組んだ場合に完済したときはすでに耐用年数を過ぎており、資産価値がなくなっていることも理由のひとつです。ライフスタイルが変わったからといって、賃貸に出したり売却したりしたくても、都心部の駅近物件など利便性の高い場所にある家でない限りは、すぐに買い手を見つけることは難しいでしょう。地方の場合は子どもが都会に出て行って戻ってこないケースも多く、自宅をどうするかで頭を悩ませている人が多くいます。

その点、賃貸は身軽です。今後は賃貸物件の供給数が需要を上回ることが想定されるので、より良い条件で気に入った物件に住むことができる可能性は大きいのではないでしょうか。結婚して子どもができたり、成長して家が手狭になったりしたら広い家へ、子どもが独立したらコンパクトな家に移ることも可能だからです。

大学の教育資金を貯めるには高校入学までに貯め終わるのがコツ

幼稚園から大学までの子どもの教育費は、一人当たり約1000万円かかるといわれています(※2)。その半分が大学入学後に必要になる金額です。高校までも500万円かかっていると思うかもしれませんが、17年で500万円かかるのと4年間で500万円かかることを比べると、一時に必要な金額がまったく違うことがわかるのではないでしょうか。

地方から大都市圏の大学に入学する場合は、仕送り費用がさらにプラスされます。教育資金を準備するコツは、比較的教育費のかからない高校入学までに、大学4年間に必要な金額を準備し終えることです。その方法として有力なのが、学資保険と定期貯金が挙げられます。学資保険は、予定利率の改定で以前ほどお金を殖やす意味では魅力がなくなりました。しかし、決まった時期までに確実にお金を貯められること、保護者に万が一のことがあった場合でも必要な資金を準備できるという点では、依然として優位性があります。

万が一の場合だけでなく、がん、心筋梗塞、脳卒中などの病気のほか、ケガなどで就業不能状態になったりした場合に、保険料の払い込みが免除になる商品もあるのでうまく活用すると良いでしょう。定期貯金は低金利の状況下でも普通預金と比べると有利な金利が設定されていること、普通預金よりは簡単に預金を引き出せない点がメリットです。教育資金はお金が必要な時期と金額がある程度決まっているので、確実に貯められる方法を選択するのが賢い方法です。

全員準備が必要な緊急資金と老後資金を準備するコツ

住宅の形態や子どもの有無に関係なく、全員共通して考える必要があるのは、不足の事態が起こったときの緊急資金と老後の資金です。緊急資金は、今現在の仕事が会社勤めなのか自営業なのかによっても変わってきます。会社勤めの場合は、一定の期間仕事ができなくなっても勤め先の健康保険組合から見舞金や傷病手当金の支給があるので、収入がゼロになることはありません。

一方、自営業の人はそのような手当がないので自分で備えておく必要があります。不足の事態に備えて、普段から一定額の積み立てをしておくことが大切です。仕事が一定の期間できなくなったとき心強いのは、就業不能保険を活用する方法があります。これは、入院や自宅療養などで一定期間仕事ができなくなったときに、あらかじめ決めておいた金額が給料のように振り込まれるタイプの保険。このような保険を活用すれば、手元の資金減少を最小限に押さえることができます。

自営業の人に特におすすめですが、会社勤めの人でも1年半以上の長期療養になった場合は傷病手当金が受給できなくなりますので、それ以降の収入手段として検討する価値はあるでしょう。老後資金対策として最強の方法は、定年に関係なく収入が得られる手段をもっておくこと、健康を維持することです。老後資金は少なくとも3000万円は必要で、余裕のある生活をしたければ1億円などといわれることもあり、その金額の大きさに圧倒されてしまう人も多いでしょう。

しかし、それは定年がある仕事をしている場合。仮に定年までに1億円の資産をつくることができても、長期療養が必要な病気になってしまったときや長生きすることも考えると、いくら貯金があっても不安は解消されないのではないでしょうか。年金はゼロになることはないとされていますが、現役世代が年金を受給する年齢になったときの年金水準が改善していることは考えにくいでしょう。そのため、会社勤めか自営業かに関係なく、いつまでも元気で定年に関係なく仕事ができるような状態をつくっておくことは、最大のリスクヘッジであるとともに資産になりえます。

貯蓄に近道はなし!ライフプランの設計から目的にあった殖やし方を考えよう

お金は、攻めと守りの両面から考える必要があります。守るべきなのは、必要な時期と金額が決まっている教育や住宅資金。確実に貯められるように定期預金や保険を活用しましょう。不測の事態に当面の生活資金を守るためにも、保険は一程度有効です。保険は、起こるリスクは低いけれども起こってしまったときに大変なものに備えておくのが本来の目的です。長期で働けなくなったときのリスクや、先進医療など高額の費用が必要になる医療を受ける可能性に備えて活用するのは賢い方法といえます。

備えが必要だといわれると、中には何でも保険で備えようと考える人がいます。保険料が負担になって、生活を犠牲にしては元も子もありません。資産形成を目的にした商品もありますが、保険は長期金利に連動した運用を行うため現状の低金利下ではお金を殖やすという目的には適していません。短期解約の場合は元本割れを起こすこともあるので、よく考えて利用することが大切です。長期的にお金を殖やす攻めの方法としては、確定拠出年金を利用するのがおすすめです。

拠出した金額のすべてを所得から控除しつつ、将来の資産形成ができるからです。確定拠出年金を利用すると支払いのため一時的には現金が減りますが、節税にもなるので通常の投資信託を利用するよりも、手元に残るお金を殖やすことができます。2017年に始まったiDecoでは、利用できる対象者の範囲が広がりました。また、2018年からは積み立てNISAの活用も視野に入れると良いでしょう。

どちらも、税制上の優遇を受けながら投資信託を中心とした資産運用をすることができます。投資信託は元本保証ではないのでリスクはありますが、将来のインフレリスクや貯金だけでは目標金額に到達するのが難しいことを考えると、一定の割合で資産目録に加えておくのがおすすめです。

目的があれば、必要なお金の殖やし方も見えてきます。まずはライフプランを設計することから始めましょう。

※1総務省「平成28年度情報通信白書第1部特集IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」
※2日本政策金融公庫「節約や奨学金で重い教育費負担に耐える」

ライタープロフィール
こげおちゃん
【こげおちゃん】
学生時代から、不動産や投資信託、株式などさまざまな投資を実践。特許翻訳兼秘書を経て、国家公務員を経験後、地方へ移住。同時に法人営業中心の保険会社に転職。投資の知識や経験を生かして、保険を販売するだけでなく、中小企業経営者に役立つ情報を分かりやすく提供することを心がけ、在職中に全国優秀推進員に該当。その後、菓子製造業の事業主として独立。現在の関心は、地域ビジネス。菓子製造業の店主?ライターとして、マルチに活躍するマネーに強い経営者を目指している。
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