家庭介護の悩みはこれで解決。認知症で困ったときの対処法

2017年12月21日
家庭介護の悩みはこれで解決。認知症で困ったときの対処法

自宅で介護をしていると、さまざまな問題に突き当たることでしょう。問題を解決するためには、認知症や介護に関する知識を身につけておく必要があります。ここでは日ごろの悩みの原因とその対応策について具体的に紹介していきます。

覚えておきたい介護の基本的なスタンス

介護をする上で忘れてはならないことは「どんな行動にも原因がある」ということです。認知症高齢者の言動は一見すると意味がわからないようにみえますが、よく観察してみるとなにかしらの意図があって行われていることが多い傾向といえます。行動を頭ごなしに否定するのではなく、「なぜそんなことをするのだろう?」という根底を考えてみることから始めてみましょう。

相手の気持ちになって考えることは相手が認知症でなくても重要なことです。その上で次の3点を意識しておきましょう。です。

1つ目は「説得しないこと」です。認知症高齢者の理解できない行動に対して、説得的態度をとるのは効果がありません。排せつの失敗をしてしまった相手に対し「なんでそんな失敗をするの?」「きちんとトイレでしてください!」といっても意味がないのです。ついやってしまいがちなこのような言動は認知症の方を傷つけ関係を悪化させるだけです。

そこでとるべき行動が2つ目の「共感」になります。失敗して落ち込んでいる相手に対し「たまにはそんなこともありますよね」と共感することで相手との信頼関係が芽生えることが期待できます。これは認知症の有無に関係なくコミュニケーションを図る上では大切なことです。失敗したことを一番理解して落ち込んでいるのは、本人自身ということは忘れないようにしましょう。

3つ目は「がんばりすぎないこと」になります。認知症の方がそうであるように介護をする側も人間です。自分が気を使って世話をしてあげるばかりで、だれからも認められなければ心がすり切れてしまいます。そうならないために介護者自身のケアも重要になってきます。介護は先のみえない側面があります。がんばりすぎずに細く長く続けることも重要なのです。

その行動の原因、本当に認知症ですか?

介護者側からみた問題行動はしばしば認知症が原因とされがちですが、実際にはそうでないケースもたくさん存在します。先ほども例としてあげた排せつの失敗をみてみましょう。排せつの失敗はさまざまな原因が考えられます。

例えばトイレまでの距離が本人にとっては遠すぎる場合です。普通の人にとってはなんてことのない数メートルの距離も障害を抱えている人や下肢筋力が低下している人にとっては苦しいケースもあります。トイレが遠すぎるために行きたいと思っても間に合わないのかもしれません。例えばトイレまでの廊下に手すりを設置することで、楽に行けるようになることも考えられます。

またはリハビリを実施して下肢筋力の機能向上を図ることも有効でしょう。それも難しいのであれば、ベッドのそばにポータブルトイレを置くという方法もあります。これらの方法は介護保険を使えばお金の負担を少なく利用できるケースもあるのでチェックしたいところです。その人がなぜ失敗しているのか原因究明を行うことで、本人にとっても介護者にとっても楽に暮らすことができるようになります。

原因がわかってもどうしようもないこともある

認知症において原因がわかればすべて解決策につながるわけではありません。排せつの失敗の例でいえば、認知症高齢者の弄便(ろうべん)と呼ばれる行動がそれに当たるでしょう。弄便とは、おむつの中で出た排便を触ってしまったり、便を触った手で至るところを触って回り部屋中を汚してしまったりする行為をいいます。

この症状は自宅で介護する介護者にとってもストレスの大きな行動となります。認知症の方がこのような行動をとる原因は排便をした気持ち悪さのケースがあります。自分でおむつを替えることができればいいのですが「おむつを替える」「お尻をきれいにする」といった行動の手順がわからない人にとっては至難の技です。

なんとかしようとした途中で手に便がついてしまい、手についた便を拭き取ろうとして手当たり次第に拭いて回る行動の結果が弄便なのです。弄便の原因は認知症の進行による手続き記憶の障害ですから治療方法がありません。排せつ時には必ず介護者が付き添ったり下剤を使って排便コントロールを行ったりすることで未然に防ぐという対処療法で対応していくことが賢明です。

一番の敵は自分自身のストレス

認知症高齢者の言動をどれだけ理解しようとしても、一般論として原因が追及できないことから理解できないことも出てきます。認知症の有無に関係なく身内といえども他人の考えていることをすべて知ることには限界があります。その限界を超えてまで「相手のことをよく知ろう」「もっと相手に尽くそう」と考えると自分自身に多大な負担がかかってしまい介護が必要な人より先に倒れてしまうことにもなりかねません。

家庭で介護を行う上で欠かせないのが自分自身のストレスに対するケアです。そして自分をケアするためには、自分自身をよく知る必要があります。「どんなことにストレスを感じるのか」「どんな負担を分け持ってほしいと思っているのか」など1度紙に書き出してみるのもよいでしょう。文字にすることで自分の願望が明確になり、「なにをしたらいいのか」「人になにを頼めばいいのか」が整理しやすくなることが期待できます。自宅介護はゴール地点が定められていないマラソンのようなものです。

毎日を短距離走のつもりで走っていては、どこかで息切れしてしまいます。自分が楽なペースをみつけて時には行政や専門家へ助けを求めましょう。立ち止まりながらでも歩くようなスピードでも前に進み続けていれば、いつかはゴールが見えてくるものです。

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