早めの準備で明るい介護生活を

2017年12月21日
早めの準備で明るい介護生活を

超高齢化社会と言われる日本では、介護にまつわる様々な問題はいまや誰にとっても他人事ではありません。いつ何時、自分が介護の当事者になっても慌てないよう、具体的な知識と心構えの両方を早めに準備しておきましょう。

介護の第一歩は早めの診断から

多くの高齢者の場合、介護の問題は向こうからゆっくりとやってきます。認知症はその代表例で、ある日突然激しい症状が出てくるのではありません。ゆっくりゆっくりと進行し、それまで出来ていたことが少しずつ出来なくなり、介護が必要になっていくのです。

超高齢化社会の日本では、いまや400万人以上の認知症患者と、それとほぼ同数の認知症予備軍がいると推定されています。いずれもゆっくりと進行し、現在の医療技術では回復治癒が難しいため、その数は増加していくと考えられます。そう遠くない将来、誰もが介護に向き合うようになると言えるでしょう。

介護が近づいてくる現実を、しっかり見据える必要があります。高齢者と呼ばれる年齢になって物忘れが増えたと感じたら、本人は検査を受けてみるといいでしょう。家族の誰かが気づいたら、勇気を持って事実を伝えて一緒に病院へ行ってみましょう。年相応の物忘れと診断されればそれに越したことはありません。万が一そうでなくても、認知症は他の病気同様、早めに見つける事で進行を遅らせることが可能です。先延ばしにせず、まずは診断を受けて自分の状態を知ることが介護の第一歩になります。

早め早めの準備が肝心

認知症と診断され症状が出てきたら、本人と家族は不安でいっぱいになります。何をどうしたらいいか、パニックになる人も少なくありません。認知症にもいくつかの種類があり、症状の出方は人それぞれ異なります。介護といっても何から始めたらいいのかわからないのが普通でしょう。お金がいくらかかるのか、どんな症状と対処法があるのかを知っているのは、専門職の人を除けば少ないのが現実です。

そこでまず心掛けたいのが、行政サービスの活用です。市役所や出張窓口に行くと、今の状態でどういった行政サービスが受けられるのかを教えてもらえます。介護保険の申し込み方法やどんな書類を揃えるのかといった情報が得られるはずです。かかりつけの病院があるならば、そちらで訊ねてみてもいいでしょう。

そして担当のケアマネージャーが決まれば、リハビリ・デイケア等各施設の利用の仕方、家の中の改装や介護ベッドのレンタルといった、具体的な相談を出来るようになります。トイレでよく転んでしまうがどうしたらいいか、膝が悪いのでリハビリをしたいがどの施設で出来るのか等々、その人のニーズに合った方法をプロとしてアドバイスし実行してくれます。

不安でいっぱいの時こそ、身近なプロの存在が役に立ちます。「まだ症状が軽いから大丈夫」と思う人は多いのですが、待つ必要はありません。特に認知症は、対処が早ければ早いほど生活の質を長く保てますから、臆さず早め早めの準備をしていきましょう。

頼りになる介護保険制度

介護保険制度は、認知症など介護が必要になった人と家族にとって、とても頼りになります。介護行政サービスの入り口と言え、ケアマネージャーと二人三脚で有効活用していくことになるでしょう。

介護保険は申し込みをすると、その人の状態によって「介護認定度3」といったようなクラス認定が行われます。クラスによってポイントが定められており、そのポイント内なら無料で介護施設を利用したり訪問介護を受けたりできる仕組みです。家の中に転倒防止の柵を設置する場合、自分でリフォーム業者に頼めばかなりの金額がかかりますが、介護保険のポイントを使えば無料で出来るのです。お金の面の心配をぐっと減らしてくれる上に、プロの的確なプランニングなのでより高い質の介護が望めます。トイレの不始末は、介護の中で特に人に相談しづらい話題でしょう。ケアマネージャーは医師同様守秘義務があるので、そういった話のサポートも的確にしてくれます。精神的に経済的に、大きなメリットがあるといって間違いありません。

お金の面では、障害者認定制度の活用も重要です。介護の対象者には、歩けなくなるといった身体障害が出てくる人が多くいます。自力で椅子から立ち上がれない、ベッドから体を起こせないといった症状などでも申請ができます。障害認定を受けておくと、介護保険制度同様、医療費の面で免除を受けられる場合が出てきます。

どちらの制度も「必要になってから申し込めばいい」と思っていると、症状が進行して認定を受けるための手続きに大変な労力がかかってしまいます。そのために申請が遅れるケースもあるので、なるべく早く申請して制度を有効に利用していきましょう。申請はいつでも可能で、認定されれば受けられるサービスが増え、本人と家族の支えになります。

なお、認定の申し込みには役所で取る必要のある書類が多いので、手続きをしっかり確認して二度手間のないよう心掛けておくのがいいでしょう。

明るい介護のためにプロの手助けを頼みましょう

介護が始まっても、本人とその家族がそれまでの楽しい生活の全てを失う訳ではありません。症状が進行するとわかっている認知症でも、発症からの平均余命は十年を超えています。早めに介護保険の認定を受けていけば、笑顔の絶えない生活を続けることが可能です。

そのために、介護のプロの手助けを受けるのが大切です。掛かる苦労とお金は確実に減らせますから、明るく前向きな介護のために早め早めの手助けをお願いしましょう。

▼参考サイト
https://news.mynavi.jp/article/20171116-a304/

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