住宅ローンを組みたい!審査に落ちるのはどんな場合?

2017年12月27日
住宅ローンを組みたい!審査に落ちるのはどんな場合?

「そろそろ憧れのマイホームを検討したい」「やっぱり一番気になるのは予算」という人が多いのではないでしょうか。まとまった親からの贈与や相続財産がある場合などは別として、やはり若い人が住宅を購入するにあたって住宅ローンの利用は避けて通れない問題です。ここでは、住宅ローンの審査項目や融資審査の結果を左右するポイントなど、住宅ローンの申込みをする前に確認しておきたい知識を解説します。

住宅ローンの審査項目には何がある?

金融機関が住宅ローンの審査項目としているものは、若干の違いはあってもほぼ共通しており、おおよそ次のような項目が審査対象になります。

ほかの借り入れ先や残債務額(信用情報機関の個人信用情報)

「信用情報機関」というのは、個人の貸金業者などからの借り入れにまつわるデータ(借入金額や返済履歴など)を保有している会社です。信用情報機関は加盟会員である金融機関や貸金業者があげてくる情報をそのまま掲載しており、いわゆるブラック(金融事故)に関する情報等も共有されています。つまり、他社の借り入れがすでに多額にのぼっていたり、滞納があったりすれば、それは大きなマイナスポイントになるのです。

勤務先、勤続年数

勤務先の規模は大企業のほうがポイントが高くなりますが、勤続年数については「少なくとも2~3年程度」を目安としている金融機関が多くなっています。

収入

金額だけではなく、雇用の安定性があるかどうかも審査の対象です。その点ではやはり自営業者よりもサラリーマンのほうが有利といえます。

年齢(借入時と完済時)

完済時年齢については75~80歳を上限と設定している金融機関が多くなっています。

健康状態

フラット35を除く民間の金融機関では、その多くが住宅ローンの利用にあたって、団体信用生命保険(団信)という債務者が死亡・高度障害となった際の保険への加入を義務付けています。そのために、団信に加入できる健康状態でなければなりません。

返済負担率

聞き慣れない言葉ですが、住宅ローンの返済額が年収の中でどのくらいを占めているかという割合のことです。年収400万円くらいまでの人であれば返済負担率を30%以内、それ以上でも35%以内に抑えることが望ましいといえます。

購入物件の担保としての評価

住宅ローンを借りる際には、社内融資など特殊なものを除いて必ず金融機関はその物件に抵当権を設定します。返済が滞った場合に物件を競売にかけて可能な限り債権回収しようとするためです。そのため、物件の価値がどのくらいかということは非常に大切な要素です。大体、物件の時価の70%程度が「担保として評価した場合の価値」の目安といえます。

神奈川県は東京オリンピックの前後で物件の価値が大きく変動する可能性もあるため、価値の変動に関する見込みは不動産会社にも確認しておくべき事項です。

住宅ローン審査に落ちやすいケースとは?

国土交通省住宅局から出されている「民間住宅ローンの実態に関する調査」というデータがあります。これによると2014~2016年までの調査で引き続き「金融機関が重視する項目」として上位から順に「完済時年齢」「健康状態」「借入時年齢」となっており、「担保評価」「勤続年数」「年収」と続いています。(※1)金融機関の審査では「承認」「減額承認」「否認」といった結果がありますが、減額されたり否認されたりするのは、このような重要度が高い項目で上記に挙げた基準をクリアできていない人ということになります。

特に神奈川県の場合、地価そのものが元々高いわけですから物件に関する希望を多く挙げすぎると予算が膨らんでしまい、自分の返済能力に見合っていない融資希望額になってしまうおそれがあるため注意しましょう。

スムーズに承認されるためにできること

年齢の問題

退職金での繰り上げ返済などを見込んで完済時年齢を定年よりも高く設定してしまう人もいますが、繰り上げ返済を当てにし過ぎることは危険です。借り入れ時の年齢がそもそも高い人は融資希望額を減らすなどして、極力定年までに完済できるようにプランニングしたほうが賢明といえます。

年収の問題

どうしても希望の物件があり譲れない人は、「親からの住宅資金の生前贈与」を上手に利用することも手段のひとつです。「贈与により頭金を増やすことで、住宅ローンの申込額を減らす」「夫婦の収入合算を検討する」といった方法があります。なお、収入合算については年齢や本人との関係、どのくらいまで合算できるかの基準が異なるので金融機関への確認が必要です。また、他社の借入金をこの機会にしっかり整理、確認しておきましょう。金融機関の審査には「事前審査」と「本審査」がありますが、事前審査に通った後で新たな借り入れ(自動車ローンなど)をしてしまうことで本審査に落ちてしまうこともあります。

そのため、本審査が通るまでの間で借り入れ情報の内容が変わらないようにしておくことも大切です。カードキャッシングでは利用をしていなくても「融資可能枠」を持っているだけで、それが借入金額にカウントされてしまいます。ショッピングしか利用しないカードのキャッシング枠をゼロにしておくことも忘れないようにしたいものです。

親からの相続を見込んでいる人についての注意点ですが、神奈川県などの首都圏ではたとえ相続により財産を取得できる見込みがあったとしても、他県と比較して相続税がかかるケースが多いので、見込みより実際に取得できる相続財産が少ないこともある点に注意が必要です。

健康の問題

もし、団体信用生命保険に加入できない健康状態の人は、団体信用生命保険の加入が任意の「フラット35」の利用を検討してみるという方法があります。

専門知識を持つ人に相談し、綿密にプランを立てる

結局、審査に落ちてしまう人は、事前に自分の金融機関からの評価を客観的に判断できていないケースも多い傾向です。身の丈に合わない融資希望額を出したことによって失敗するパターンもあると考えられます。そのため、住宅ローンの申込み前に「神奈川県の金融機関の融資基準に詳しい不動産仲介業者」などに相談し、より審査に通りやすい条件を整えておくことが大切です。

神奈川県は地方都市よりも給与水準は高いものの、その分やはり物件の価格も高くなりますので、希望をすべて叶える物件となると想定予算をオーバーしてしまうことも考えられます。自分の中での条件の優先順位を決めておくことが大切です。

ただ、なかには無理に物件を売りたいがために、長期的に見たら顧客に不利益となる方向に誘導する業者もいるかもしれません。良心的な業者を選ぶためには、業者自身の広告よりも、地元で不動産購入経験がある人の口コミのほうが信用できる場合もあることを覚えておきましょう。

▼参照サイト
※1【国土交通省】平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査

ライタープロフィール
にしこさん
【にしこ】
司法書士(実務経験約15年)。その他の保有資格は宅建主任者、2級FP技能士、モーゲージプランナー(住宅ローン専門資格)。
得意分野は不動産、相続。実務で得た「使える知識」を執筆に生かしている。
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