相続と贈与、節税対策の基本を抑えよう!

2018年1月15日

自身が逝去した後の遺産を考えると、出来るだけ税金として徴収されるのは避け、望ましい人に分け与えてあげたいものでしょう。方法としては相続や生前贈与がありますが、どの方法を用いるのが正しいのでしょうか。それぞれの仕組みと共に、考えてみることにしましょう。

相続と税対策の基本

相続は法律で決まっている近親者を対象に、財産を与えることが出来る仕組みです。誰が財産を引き継ぐかについては、個人が自身で選べない点はデメリットになります。配偶者がいれば配偶者は常に相続人として扱われ、子供がいなければ親、親の次が兄弟と言う順番で、相続順位は法定です。妻と子がいれば妻子が相続人、子がいなければ親か兄弟に相続権が回っていきます。

近親者に限って財産を与えたい場合には有効なのですが、他の親戚に与えたい場合や、子がいる状況で兄弟にも与えたい場合などでは、贈与や遺言を用いる必要があるでしょう。また、相続税対策の関係でも、生前贈与を組み合わせて考えることはセオリーです。相続では財産が一定あると課税対象になりますが、工夫すれば負担を減らすことは可能です。

相続税の課税と対策

相続税はまず3000万円の控除枠があり、相続人数の分だけ控除枠が追加され、その合計が基礎控除となります。相続人ひとりあたりの控除枠は600万円ですから、相続人が3人いれば、3000万円に加えて1800万円分の合計4800万円が基礎控除となるわけです。この金額は法律改正によって変化しますので、注意して下さい。執筆当時とは相続税率が異なっている可能性がありますから、確認が望ましいです。

この控除枠を超えた分の遺産が課税対象になりますが、財産やお金であれば、全て含めて計算するわけではありません。借金や未返済債務があれば引いて計算しますし、生命保険や死亡退職金などは全てが課税されないのが特徴です。

相続税対策では、事前に財産を贈与することで税額を抑えることはもちろん、ギリギリのところで課税対象から外れる場合もあるでしょう。このため、対策には生前贈与を上手に用いることが大切です。

生前贈与による相続税対策について

生前贈与は存命中に、財産を譲り渡す行為になります。何気なく行えるものですが、実は贈与は法律で色々な規定がなされており、御存知の通り課税対象にもなり得るものです。このために、生前贈与を行う場合にも工夫が必要ですが、上手に行うことで課税額を抑えていくことができます。もちろん、この生前贈与を駆使すれば相続税対策としても、かなりの効果が見込めます。

贈与をしておいて、相続が必要になった際の課税対象財産を減らしておくのはセオリーです。コツコツと少額ずつ贈与する方法の他にも、法的な枠組みを活用して行く方法もあります。単に贈与といっても現金で譲るだけではなく、不動産を分けていく場合でも節税を見込めるので、確認しておいて損はありません。

節税に繋がる贈与の方法とは

贈与税はどんな場合でも課せられるかというと、そうではありません。色々な形で非課税枠が設けられているので、それらを駆使していけば、税の負担を抑えながら財産を譲り渡すことが可能です。

まず、定番としては、年間110万円の上限枠に掛からないように小さく贈与をしていく、という手段が用いられます。贈与税の上限は一年で110万円と決まっているので、これを超えないようにして小口の贈与を繰り返すわけです。ただし、毎年のように決まった時期に110万円を振りこめば、税務調査の際には非常に判りやすいでしょう。上手くカモフラージュしていくことも、税対策では必要となります。

次に住宅取得資金贈与の特例や、教育資金贈与の特例などの非課税枠を使っていけば、合法的に減税していくことが可能です。これらについては贈与対象者が何歳であるとか、どのような時に何に使うお金が非課税になるのかなどの条件があります。その条件に適合する形で贈与できれば非課税となるので、上手く使っていくと良いでしょう。特例は他に、夫婦間の贈与を対象にしたものなどが複数あります。

不動産を譲りたい時には、相続時精算課税制度の利用を考えたいものです。これも年齢などの条件があるものの、2500万円ほどが非課税対象になります。お子さんに家を与えたい時には、有効な手段でしょう。

相続税や贈与税対策の注意点

相続税や贈与税対策は、実は厄介な点も多数あるので注意が必要です。まず、計算は複雑になりやすいですが、もしも失敗すると無意味に払ってしまったり、少ないと追徴課税の危険性があります。自己判断で無茶な申請をするのも、絶対に避けたいものです。税務署もお金を取れる時には良い仕事をするので、なかなか、見逃してはもらえません。

有利な点としては、税の申告では時効が適用されるので、一定期間を過ぎれば申告義務が消滅します。うっかり払い忘れていた時でも時効が完成していれば、課税は免れるのはメリットです。ただし、これも油断していると時効前に多額の請求が来る可能性があるので、油断は禁物でしょう。

相続税の申告には、うっかり知らないとリスクが高い決まり事が多々あります。冷静な判断と確実な知識は欠かせないでしょう。

上手に税対策をするには

相続や贈与、税金に関して法律的知識や税制に関するノウハウが必要です。自身でしっかりと学ぶことも大切ですし、場合によっては専門家に相談していくことも必要でしょう。生前からの相続税対策は焦らずに、しっかりと考えていくことが望ましいです。

▼参考サイト
※1.【東京税理士会】やさしい税の話 相続税の計算方法
※2.【相続税相談ナビ】相続税コラム 生前贈与で不動産を贈与する際に贈与税を抑える為の手順

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