偏差値だけで選ぶのは間違い?中学受験にかかる費用と志望校選び

2018年1月30日
偏差値だけで選ぶのは間違い?中学受験にかかる費用と志望校選び

わが子が「中学受験がしたい!」と口にしたときには、叶えてあげたいというのが親心でもあります。しかし、最も気になるのは受験にかかる費用や進学費用ではないでしょうか。塾に通わせたり家庭教師を依頼したりすれば、その費用もかかります。親子で取り組む中学受験のポイントについて、費用や志望校選びの点から見ていきましょう。

中学受験~進学時にかかる基本的な費用

中学受験に取り組むときには、公立中学に通わせる場合と比べてそれなりに費用がかかることを念頭においておく必要があるでしょう。文部科学省の2015年度「学校基本統計」によれば、東京都の場合だと中学生の生徒総数は31万874人となっており、そのうち私立中学校に通う生徒数は7万4,357人となっています。(※1)

この統計からわかることは、都内の小学6年生の4人に1人が中学受験をしているということです。「友だちが受験するから受けたい」と、子どもが口にしても不思議なことではないでしょう。また、親の立場からしても子どもを少しでも良い環境で学ばせたいといった面もあり、中学受験に取り組む家庭が一定数あるようです。受験にかかる費用は、大学受験などの場合と違って遠方の学校を受験することは考えにくいので、宿泊費などはあまり考えなくていいでしょう。

受験する学校数にもよりますが、受験料自体は1校あたりおおむね2~3万円程度となっています。東京都がまとめた2016年度「都内私立中学校の学費の状況」によれば、都内の私立中学の平均的な受験料は2万2,718円でした。(※2)

受験日程にもよるものの、3~5校を受験する場合が多いようです。そして、受験勉強については小学校の勉強や独学では難しい面があるため、中学受験を専門としている塾に通わせることになります。小学4年生ぐらいから塾に通わせる場合には、塾によって月謝の差はあるものの3年間通わせた場合には総額で100万円程度かかるといえます。

また、テキスト代や教材費、夏期・冬期講習の費用などを含めれば、総額で200万円程度はかかるものと考えておきましょう。これは大手進学塾に通わせた場合ですので、通信教育や個人指導塾に通わせた場合には費用を抑えることができます。さらに、晴れて合格したら今度は学費がかかってきます。東京都の場合だと、入学金の平均額は25万3,423円となっており、他に寄付金なども必要となるため、合格発表後に50~100万円の費用が必要となるでしょう。(※2)

そして、学校に通わせ続けるためには授業料や施設費などの費用も必要になります。東京都の2017年度「都内私立中学校の学費の状況」によれば、授業料の平均は46万4,720円で施設費が4万2,256円です。この他にも、生徒会費やPTA会費、修学旅行の積立金なども必要となるため、年間では68万円程度の費用が必要となります。(※3)つまり、中学受験には塾の費用・受験料・入学金や授業料がかかり、総額では400万円程度はかかるものとして意識をしておく必要があるでしょう。

失敗しない塾の賢い選び方

中学受験を成功させるためには、何と言っても学習の基本の場となる塾選びが重要になります。中学受験に必要な勉強量は決まっているので、カリキュラムがしっかりと組まれている塾を選びましょう。小学4年生のときから受験対策を始めるとしても、独学でこなしていくのは大変であるため、進学塾に通わせるほうが良いといえます。塾に通わせることで、定期テストなどで学習の習熟度を確認できますし、志望校の情報を得ることができるため、何かと受験の心強い味方となるはずです。

塾選びを失敗しないポイントとしては、通わせようとしている塾が志望校に何名の合格者を出しているかという点を重視してみてください。合格者が多ければ、それだけ受験に関するノウハウも持っていますし、安心ができるでしょう。また、家から塾までの距離が遠いと、塾に通うまでに子どもが疲れてしまいますので、なるべく通いやすい範囲で塾を選ぶことも大切です。

そして、進学塾にはそれぞれ特色があるため、子どもの性格に合った塾を選ぶこともポイントです。繰り返し定期テストを行っている塾や学校の勉強とは切り離して受験に特化した指導を行っている塾などさまざまあります。「塾に入れたから大丈夫」と安心してしまうのではなく、中学受験に必要な学力をしっかりと定着させてくれる塾を選んでみましょう。

志望校選びは本人の意志を尊重する姿勢が大事!

志望校を選ぶときのポイントは、何よりもまず「本人の意志を尊重する」姿勢を持つことが大切です。親の立場からすれば、偏差値の高い学校や人気のある学校も気になってしまうでしょうが、実際に通学するのは子どもだという視点を忘れないようにしましょう。

「なぜ中学受験をするのか」といった基本的な認識を親子で共有しておくことが、長い受験勉強を乗り越えるためには必要なことです。そのためには、学校説明会などに参加をして、学校の雰囲気や教職員の様子、教育内容を把握しておくようにしましょう。志望校の見学だけではなく、できればさまざまな学校を見て回ってから最終的な志望校を選んでみてください。「ここに通いたい!」といったイメージが子どもの中でしっかりと湧いてくれば、受験勉強を乗り切る大きな力となるはずです。

親子で足並みをそろえるのが成功の鍵

中学受験を成功させるには、親子の足並みをそろえていくことが肝心です。子どもだけが頑張ったり親だけが頑張ったりしていても、日々ストレスを感じてしまうだけでしょう。学校説明会などを通じて志望校を選び、合格のために最も合った塾選びをしていくことが受験の大きな助けになるはずです。中学受験の時期はちょうど子どもの反抗期にあたる時期でもありますが、無理やり勉強をさせようとするのではなく、子どもの自立心をうまく受験勉強に活かしていく方法を探ってみてください。

体調管理や健康管理に気を配り、親としてはあくまで一歩引いた姿勢で子どもを見守ってみましょう。受験の当事者はあくまで子どもといった姿勢で向き合えば、子どもの自立心に刺激を与え、学習意欲を高めさせる方向に導いていけます。中学受験を通じて、人間的な成長を後押しできるように親として応援する姿勢を大切にしてみてください。

※1.【東京都の統計】27年度調査結果の概要
※2.【東京都】平成28年度都内私立中学校の学費の状況
※3.【東京都】平成29年度都内私立中学校の学費の状況

ライタープロフィール
方山敏彦【方山敏彦】
大学在学中から家庭教師を始め、首都圏の小・中・高校生の指導にあたる。卒業後は都内の大手学習塾に5年間勤務し、指導生徒数は1,000人を越える。人事部での勤務経験もあり。
現在は専業ライターとして活動しており、主に教育・就活分野を中心にコラムを執筆している。
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