フリーランスもビジネス経営者として節税を考えよう

2018年1月31日

会社に雇われていないフリーランスの場合、自分で日々の帳簿をつけ、税金の申告をしなくてはなりません。その際、少しでも「節税」を意識するとしないとでは、大きな違いが生まれます。では、フリーランスには、どういう節税方法があるのでしょうか。

まず、税金の仕組みを知っておこう

大まかな所得税の仕組みについて知るために、次の2つの式について理解しましょう。税金について詳しい人は分かっていることでしょうが、一応解説しておきます。

まず、「収入ー経費=所得」。「収入」は、たとえばイラストレーターでしたら、イラストを売って得られたお金です。経費は、収入を上げるために必要な費用ですから、イラストを描くのに必要な画材やパソコンなどを購入する費用です。

そして、「所得ー控除=課税所得」。さまざまな条件で税金を安くする控除が設定されていますので、自分に該当する控除があれば、もらさず受けましょう。なお、税額から引く税額控除もありますが、ここでは詳しくは言及しません。

収入から経費と控除を引いて計算される課税所得の額に応じて、税額が決定されます。ですから、節税のためには「経費」と「控除」をしっかり申告することが重要になります。

経費をもらさず計上しよう

会社員は経費に相当する「給与所得控除」が認められています。使っていてもいなくても、一定の金額を差し引いてくれるという有利なものです。一方、フリーランスは、ビジネスや経営のために実際に使った経費しか認められません。経費に関しては、会社員の方がフリーランスよりも遙かに有利です。給与所得控除のないフリーランスは、せめてしっかり経費を計上しましょう。

経費として認めてもらうためには、日頃から領収書をきちんと保存していることが必要です。仕事の参考にする書籍や仕事で使う文具類はもちろん、打ち合わせや取材などのために移動したらその交通費も経費になります。交通費の領収書はもらいにくいこともありますから、日時と金額をメモしておきましょう。その他、仕事関係の人に渡す香典などは接待交際費になりますし、飲食費も、仕事に関係ある出費なら経費と見なされます。

自宅で仕事している人は、自宅の家賃・光熱費・インターネット料金などの一部を必要経費にできます。詳細はそれぞれの家庭で違ってきますが、個人と事業で使う面積や時間の割合などの合理的な基準で、4分の1、3分の1などを経費に計上できます。

ただ、最終的に経費と認めるかどうかは税務署が決めることです。仕事と関係ない支出は経費には認められませんから、何でも経費として申告して、税務署から悪い印象をもたれないようにしましょう。

節税に有利!青色申告のメリット

フリーランスの確定申告の方法には、2種類あります。「白色申告」と「青色申告」です。白色申告の方が簡単ですが、節税に有利なのは青色申告です。

青色申告ならば、「青色申告特別控除」を受けることができます。青色申告にも2種類あって、簡単な単式帳簿で申告するなら10万円の控除しか受けることができませんが、複雑な複式帳簿で申告すれば65万円の特別控除を受けることができます。複式帳簿といっても、最近は青色申告用のソフトも出ていますから、そういうソフトを利用すれば、自分で帳簿をつけることは可能です。所得から65万円もの控除ができるのは何と言ってもお得ですから、青色申告をおすすめします。

青色申告には、赤字を3年間繰り越せるというメリットもあります。開業時などに経費がかさんで赤字になってしまっても、その赤字を翌年以降に繰り越して、黒字と相殺できるのです。また、「青色専従者給与」といって、家族への給与を全額経費にできます。配偶者や親族に仕事を手伝ってもらっている場合、給与を渡すことで自分の所得を少なくし、税率を下げて節税する効果が期待できます。このときは、配偶者や親族の労働実態に応じた給与でなくてはいけません。もっとも、配偶者や親族が一定以内の所得しかなければ配偶者控除か扶養控除が受けられますから、専従者として給与を渡す方が有利か、給与を渡さず配偶者控除・扶養控除を受ける方が有利かは、ケースバイケースです。

さらに、30万円未満の物品を購入した場合、全額をその年の経費にできる「少額減価償却の特例」もあります。フリーランスの収入は一定ではありませんから、ある年に収入が特に多くなった場合、その年にパソコンなどを買っておくと全額経費にできます。

なお、青色申告をするならば、前もって税務署に開業届を提出し、家族を専従者とするなら、青色事業専従者給与に関する届出も提出しなくてはなりません。

退職時や老後に備えつつ節税

フリーランスには退職金がありませんし、年金も国民年金だけですから、老後がやや不安だと思う人も多いでしょう。しかし、将来に備えながら節税が可能です。

経営者の退職金ともいわれる「小規模企業共済」に加入することで、節税効果が生まれます。小規模企業共済とは、月々掛け金を積み立てておくと、廃業や退職のときに共済金が受け取れる制度ですが、この掛け金は全額が控除対象になります。共済金を受け取るときは一括なら退職金扱い、分割なら公的年金と同様の扱いですから、受け取るときも有利です。

その他、国民年金に上乗せして個人で作る年金として「確定拠出年金(iDeCo)」と「国民年金基金」もあり、これらの掛け金も全額が控除対象です。ただし、確定拠出年金と国民年金基金は、掛け金の合計が月に6.8万円までしか認められていません。

上に挙げた仕組みは自分で掛け金を設定でき、経済状況に応じて掛け金の増減も可能ですから、とりあえず自分で払える金額で加入しておくと、将来に備えながら節税ができます。

まとめ

フリーランスは、ちょっとした工夫で節税ができます。たとえば、青色申告をすることでかなりの節税効果が期待できます。小規模企業共済やiDeCoなどに加入すると、将来の退職金や年金の準備をしながら節税が可能です。税金が高いと嘆く前に、自分にできる節税法を調べて実行することが大事です。

▼参照URL
小規模企業共済 制度の概要
確定拠出年金制度の概要
最大◯◯円の控除が受けられる!フリーランス(個人事業主)のための、お得で賢い節税対策入門

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