フリーランスのビジネスが拡大したら会社経営で節税できる!法人化の4つのメリット

2018年2月2日
フリーランスのビジネス

フリーランスのほとんどは個人事業主としてビジネスをスタートさせます。個人事業主では使える節税手法が限られているため、ビジネスが大きくなったら節税のために法人化するのも1つの選択肢です。ここでは、法人化による税制面のメリットを4つ説明します。

所得を社長個人と会社に分配することで所得税を減らせる

年収が一定レベルを超えると、法人化によって所得税が安くなります。目安となる年収は1000万円とされます。1000万円にかかる所得税は、個人だと176万4000円です。(※1)(※2)一方、社長個人と法人で500万円ずつに分けると、トータルで152万2500円となります。(※3)単純に比較すると、法人化した方が24万1500円安くなるということです。年収が2000万円だったら、

このメリットはさらに大きくなります。2000万円がすべて個人所得だったら、所得税は520万4000円です。一方、社長と法人で1000万円ずつ分けた場合、トータルで412万8000円となります。107万6000円の節税になるということです。実際には社会保険料なども絡んでもう少し計算が複雑になります。しかし、年収1000万円と2000万円のときで、大体このくらいの節税効果があると思ってください。

消費税の課税は2年間先に延ばせる

フリーランスは、売上が1000万円を超えると消費税を納税しなくてはいけません。(※4)つまり、クライアントに対して自分の報酬とは別に、消費税も要求する必要があります。これまで年間200万円の取引をしていたクライアントに対しては、年間216万円を請求しなければいけません。クライアントからしたら「16万円高くなった」と感じるでしょう。国民として当然の義務ではありますが、フリーランスとしてはクライアントの負担は小さくしたいものです。

この際、法人化をすると消費税の課税を先に延ばせます。消費税は「売上1000万円を超えた2年後から」課税されます。(※5)つまり、売上1000万円を超えたら2年以内に法人化してしまえばいいのです。そして、個人事業主としての売上はゼロにします。2年後に消費税の課税対象になっても、売上や利益がなければ課税はされません。

一方、新たに設立した法人については、また2年間は消費税が非課税となります。同じ人物が代表でも、法人だと「別の事業者」と見なされるのです。なお、消費税のルールに関する注意点は「売上」で判断される点です。所得税は「利益」で判断されますが、消費税は利益ゼロでも売上が1000万円を超えれば、課税対象となります。利益が1000万円未満でも売上が1000万円を超える場合は、法人化を検討する価値があるでしょう。

自宅を役員社宅にすることで家賃を全額経費にできる

事務所と自宅を分けている場合、自宅の家賃は本来経費になりません。しかし、法人化すれば自宅の家賃も5~8割程度、会社の経費として処理できます。自宅を法人のものとし、社長個人に対して「役員社宅」として提供すればいいのです。(※6)会社にとっては「従業員のための福利厚生」であり、経営に必要な支出として認められます。

社長個人にとっては「家賃分の利益を会社からもらっているのと同じ」と扱われ、給与の一部に計算されます。しかし、その分社長の月給を下げれば個人所得税が高くなることもありません。(※6)なお、このメリットは自宅と事務所を兼ねているフリーランスだと、特に大きなものではありません。自宅兼事務所なら、最初から家賃の5割程度が経費になるからです。あくまで事務所と自宅を分けているフリーランスのための節税手法だと考えてください。

赤字を繰り越せる期間が長くなる

個人事業主だと、赤字は3年間しか繰り越しできません。しかし、法人化すると10年繰り越しできます。(※7)赤字の繰り越しができれば、利益が出た年にその利益を赤字と相殺できます。こうして利益を小さくすることで、税金を少なくできるのです。

仕入れの多い仕事をしているフリーランスにとっては、これは大きなメリットでしょう。特に投資をしている場合は有利です。投資は1人で行っていても、大きな損失が出ることがあります。損失が出ることは好ましいことではありませんが、その後長期間税金が減ることは、せめてもの救いになるでしょう。

法人経営者になることはフリーランスにとってメリットが大きい

フリーランスが法人経営者になるメリットは、税制面にとどまりません。法人化していることが信用につながり、新しい仕事を獲得しやすくなります。法人化には労力も費用もかかりますし、売上や利益が1000万円を超えていなければ、大きなメリットはありません。だからこそ、法人化している時点で「大体売上1000万円に近いレベル」と、判断してもらえます。また、各種の申込書で職業を記入するときも、自営業ではなく会社役員という項目を選択できます。

これはクレジットカードの審査などでも有利なことです。その他、スタッフを雇うようになった際も、法人化していると断然有利になります。求人にかかる負担が減るので、事業をさらに拡大しやすくなるでしょう。このように、フリーランスのビジネスを法人化させるメリットは多くあります。ビジネスがある程度成長したら、法人化を検討してみてはいかがでしょうか。

▼参照URL
※1【国税庁】所得税の税率
(速算表の下の(注)の計算式を参照)
※2【給与ねっと】所得税の計算
(簡単に計算できるのはこちらです。サイトは2012年から更新されていませんが、税率も変わっていないので通用します)
※3【国税庁】法人税の税率
※4【国税庁】納税義務の免除
※5【国税庁】新規開業又は法人の新規設立のとき
※6【リーダーズ・オンライン】役員社宅はどこまで経費にできるの!?
※7【弥生会計】赤字は何年繰り越せますか?

ライタープロフィール
藤井誠二(SPR合同会社・代表)
【藤井誠二(SPR合同会社・代表)】
2015年まで出版業界でイラストレーター・ライターとして活動。主な実績は『図解でわかるスタンフォードの自分を変える教室』の図解担当、自著『中国的名言を4コマ漫画にしてみた。』など。自著は読売新聞・中日新聞などでも紹介された。→http://sprn.co.jp/media/
得意分野はカードローン・仮想通貨だが、全ジャンル執筆可能。2017年にSPR合同会社として法人化。精力的に執筆を続けている。
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