葬儀場の選び方のポイントは?戒名をつけないと仏式葬儀を開けない?

2018年2月1日
葬儀場の選び方のポイントは?戒名をつけないと仏式葬儀を開けない?

葬儀場の選び方では、戒名を授かるかどうかが1つの重要なポイントになります。戒名を授かるのであれば、特に問題はありません。しかし、戒名を授からない場合は葬儀場選びに大きく影響することがあるのです。ここでは、葬儀場の選び方と戒名の関わりについて解説します。

戒名とは?なぜ授戒しないと仏式の葬儀がしにくくなるのか

戒名とは「仏道に入った人がもらう名前」です。「亡くなった人がもらう名前」と思われていますが、本来は違います。仏式の葬儀で戒名をつけるのは、浄土に行くために仏門に入ることが必要という考え方からです。(※1)つまり、授戒を拒否するのは「故人が浄土に行けなくてもいい」ということを意味します。

あるいは「浄土に行ってほしいが仏門に入ることが必要だとは思わない」という意思表示になります。どちらにしても、仏式の葬儀の否定につながるわけです。(※1)(※2)日本の葬儀の約9割は仏式で行われているとされており、葬儀プランも大部分が仏式のものになっています。(※3)戒名を授からず仏式の葬儀を行わないということは、葬儀プランの選び方にも大きく影響するのです。

戒名を拒否する人がいる理由は?授戒にはいくらかかる?

戒名をつけるには戒名料と呼ばれるお布施が必要です。金額は2万円~100万円程度と幅があり、寺院の慣習や宗派、戒名のランクなどによって異なります。(※4)一番ランクが低い信士・信女であれば、20万円~50万円が相場とされます。(※4)つまり、戒名をつけるだけで数十万円が必要ということです。

この金額を高いと感じる遺族が、授戒を辞退して仏式以外の葬儀を選択することもあります。葬儀を仏式で行わない場合、お寺のお墓に入ることは難しくなります。お寺のお墓に入るためには、基本的に葬儀と授戒のいずれかでそのお寺と関わっていることが必要だからです。葬儀を開かなくても、戒名だけつけてもらい四十九日の法要をそのお寺で行えば、お墓に入ることは可能です。しかし、戒名をつけない以上はこの選択肢もなくなるので、お寺のお墓に入ることが困難になります。(※5)

このように、戒名をもらうかどうかの決断は「お寺のお墓に入るかどうか」という部分にまで関わるのです。親戚との関わりなどで先祖代々のお墓に入ることが決まっている場合、授戒と仏式葬儀が必要になります。そして、授戒する以上は戒名料のお布施も出さなければいけません。

戒名をつける場合の葬儀場の選び方は?

戒名をつける場合、葬儀場の選び方のポイントは3つあります。1つ目は、どんな葬儀にしたいかを考えること、2つ目は料金の内訳が明瞭であること、3つ目は対応全般が誠実であることです。(※6)「どんな葬儀にしたいか」は最重要です。

葬儀に呼ぶ人数や祭壇の豪華さなど、故人の希望や価値観によって、葬儀の内容は大きく変わります。葬儀の内容が変わればそれに合わせて葬儀場の規模も変わり、適したプランも変わるでしょう。似た内容のプランでも葬儀場によって金額が変わるため、希望の内容でできるだけ安い見積もりを出してくれる葬儀場を選ぶべきです。

「料金の内訳が明瞭」ということも重要です。プランの中に何が含まれ、何が含まれていないのかをよく確認しましょう。誠実な葬儀場ほど、料金の内訳がわかりやすいパンフレットやホームページなどを用意しています。

また、質問をすれば明確に答えてくれるでしょう。「対応全般が誠実」ということは特に重要な条件です。葬儀場の営業担当者の中には、契約を急がせる、遺族の希望を無視して高額なプランを勧めるという人も稀にいます。このような営業をする葬儀場は選ぶべきではありません。遺族の希望をよく聞いてくれ、契約や支払いにも余裕を持たせてくれるような葬儀場を選びましょう。

戒名をつけない場合の葬儀場選びのポイントは?

戒名をつけない場合も、基本的な選び方は戒名をつける場合と変わりません。違いは「寺院での葬儀が行いにくくなる」という点です。葬儀場の多くは無宗教も含め、すべての宗教・宗派に対応しています。(※7)

そのため、一般の葬儀場なら戒名をもらわないで、一般葬や他宗教での葬儀を行うことが可能です。しかし、寺院では受け入れてもらいにくくなります。また、葬儀後に故人が入るお墓についても考えなければなりません。お寺のお墓に入りにくくなるため、他宗教の霊園か無宗教者向けの霊園に入ることが必要です。

葬儀場の選び方は故人と遺族の死生観にも関わる

戒名をつけるかどうかも含め、葬儀場の選び方には故人と遺族の死生観や人生観が大きく関わります。「浄土に行くために戒名が必要」「そのために相場で数十万円のお布施が必要」ということについて、心から納得する人もいれば、そうでない人もいるでしょう。

もし故人の価値観が生前の会話や遺言によって明確にわかっているなら、その価値観を最優先するべきです。もしわからない場合は近しかった遺族を中心に、全員が納得できる形で葬儀を進めましょう。親戚一同の価値観が似たものであれば、葬儀の内容について戸惑うことは少なくなります。

しかし、価値観が異なる場合には早めに話し合いを進めておくことが必要です。「生きているうちから葬儀の話をするなんて縁起でもない」と考える人もいるでしょう。しかし、突然亡くなってしまった場合には、葬儀の形式について考える時間を一切持てません。

本当に必要かどうかわからない費用を支払っているケースも多くあります。亡くなる本人が望む形式で葬儀を開き、遺族の負担を最小限にするためにも、日頃から葬儀の内容について、家族や親戚で価値観のすり合わせをしておくといいでしょう。

※1【仏壇屋・滝田商店】位牌と戒名のまめちしき
※2【樹木葬辞典】戒名はいらない?授からない場合は仏式で葬儀を行うことも見直そう
※3【All About】結婚式だけじゃない!神道で行う葬儀とは
(冒頭に「94%が仏式」とあります)

※4【小さなお葬式】戒名料は2~100万円?戒名の相場とランクを選ぶ基準
※5【はじめての葬儀ガイド】直葬後の納骨で気をつけるべきポイントは?
※6【いい葬儀】いい葬儀社の選び方
※7【菊葬会館】ご葬儀プラン

ライタープロフィール
藤井誠二(SPR合同会社・代表)
【藤井誠二(SPR合同会社・代表)】
出版業界でイラストレーター・ライターとして活動。主な実績は『スタンフォードの自分を変える教室』の図解担当、自著『中国的名言を4コマ漫画にしてみた。』の商業出版など。自著は読売新聞・中日新聞などのメディアでも紹介された。→http://sprn.co.jp/media/
得意分野はカードローン・仮想通貨・節税だが、全ジャンル執筆可能。2017年にSPR合同会社として法人化、精力的に執筆を続けている。
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