【専門家アンケート】【弁護士】ゴミ捨て場に本が捨ててある!持ち帰ったら犯罪になるの?

2016年2月10日

【著者プロフィール】

  • 彩の街法律事務所 代表弁護士 神尾 尊礼
  • 家事事件から刑事事件、企業法務まで、幅広く扱ってきました。特に、裁判所等から後見等を頼まれることもあります。現在は、初回相談無料としています。敷居は低く満足度は高くをモットーに対応して参ります。

 

 

ゴミ捨て場に捨ててある本が、よくみると読みたかった本!どうしよう、持って帰ってしまおうかな…。
そんな経験、みなさんにもあると思います。

「いくら捨ててある物だからといって、勝手に持って行ったら犯罪になってしまうのでは」「いやいや、もう捨ててある物だから、持って行っても問題ないよね」などと葛藤した挙句、後ろ髪をひかれる思いで立ち去ったり、黙ってコソコソ持って帰ったり。
今回はこの「ゴミ捨て場に捨ててあった本を持ち帰ると、犯罪が成立するかどうか」について、アンケートを取ってみました。

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【質問】
ゴミ捨て場に捨ててあった本を持ち帰ったら犯罪?

【回答数】
犯罪:45
無罪:55

 

「誰の物でもないから、無罪!」無罪説が若干有力

 

アンケートの結果、若干“無罪”説が多かったようです。

・自分はやりませんが、誰のものでもないしいいかなと思います。エコにもなりそう。(20代/女性)

・すでに捨ててあるゴミなので問題ないと思います。誰の所有物でもないので大丈夫です。(20代/女性)

・ゴミとしてすててあるのでゴミ捨て場の本を持ち帰っても犯罪にはならないと思います 道端に捨ててあるゴミをもちかえっても犯罪にはならないと思うので(20代/男性)

・捨ててあるんだし、転売目的ならば犯罪だろうけれども自分で読む分には構わないかな(30代/女性)

・捨ててあるので誰の物でもないと思っています。また新聞など電車においてまた誰かが読みまたおいてと一緒のことだと認識しています(20代/女性)

・ゴミとして捨てられているのだったら、むしろ良い行為だと思います。本も本の筆者のためにも、捨てられて処分という道よりは誰かに読んでもらったほうが良いのでは。(30代/女性)

「一度捨てられたら誰の物でもないから、とにかく犯罪不成立!」という意見が多いようです。確かに“誰も困る人がいない=無罪”というイメージはありますよね。
他には、「目的によって無罪説」もありました。転売目的で持って行くのは、ちょっとずるいので有罪!という気持ちも分かります。
少し驚いたのが「むしろ良いことをしている説」です。確かに本を持って帰ることで、その分ゴミは減り、資源の節約にもなる気はしますよね。

「やっぱりいけないことだから有罪!」45%の人が有罪説

 

一方、有罪説は45%の人に支持されていました。

・いくらゴミ捨て場に捨ててあった本でも勝手に持っていったら、いけない気がするから。厳密に言ったら、犯罪なのかなと思うから。(30代/女性)

・資源ごみは市町村の持ち物のため、勝手に持って行くと犯罪だと思います。(50代/男性)

・基本、ごみにだされたものを勝手に取ると犯罪とおもいます。金額の高い低いにかかわらず。(30代/男性)

・落ちているものかもしれないので、持ち帰るのはねこばばと同じ犯罪だと思います。(40代/男性)

・本人は不要なものでごみステーションに出してからは、もう資源になるものです。最近は、エコを推奨しているのでまた新しい何かに生まれ変わります。それを持ち帰るのは・・・。泥棒ですよ。(30代/女性)

有罪説には「倫理的にいけない」というご意見が多く集まりました。ゴミ捨て場といえども、勝手に持って行ってはいけないと考えている方が多いようですね。中でも「資源ゴミは市町村のものだから窃盗に当たる」というご意見もありました。確かに、市町村がわざわざ「資源」と名前をつけて回収しているのですから、それが回収できなくなったら市町村が困ります。
同じエコでも「ゴミが減るから無罪」と考える人もいれば、「リサイクルできなくなるから有罪」と考える人もいて、エコや環境に対する考え方もいろいろあることが分かります。

それでは、ここからは弁護士が法的に解説していきます。

元の持ち主との関係では、犯罪は成立しにくい

捨てられていたものを持ち去った場合、刑法上関係しそうな犯罪は、「遺失物横領罪」と「窃盗罪」です。
遺失物横領罪とは、忘れ物などを勝手に持って行ってしまった場合に成立します。いわゆる置き引きと同じ扱いです。また、窃盗罪は、人が管理している物を勝手に持って行ってしまった場合などに成立します。
既にゴミ捨て場に捨てられているものですから、元の持ち主は所有権を放棄したといえます。したがって、今回のケースは置き引きでもないし、元の持ち主の管理からも離れています。そもそも元の持ち主は困らないのですから、元の持ち主との関係では犯罪が成立しにくいでしょう。

市町村との関係では、犯罪が成立し得る

それでは、市町村との関係ではどうでしょうか。法律家の中でも若干見解が分かれそうなところではありますが、私は「ゴミ捨て場に置かれた時点で市町村の管理下なので、窃盗罪等が成立する」と考えます。
特に資源ゴミの場合は、元の持ち主が「市町村に渡してちゃんとリサイクルしてもらおう」という気持ちで捨てた可能性が高くなります。さらに市町村の側も、回収した資源ゴミをお金に変えることを期待しているといえます。つまり、元の持ち主はゴミ捨て場に捨てた時点で管理を市町村に委ねていますし、市町村側も管理したいと思っていることになります。このような管理をお願いしたい、管理したいという思いは、法的に保護されるべきものだと考えます。
さらに最近では、「ゴミは市町村のものだ!」と条例で宣言する自治体も増えてきました。この条例の中に罰則が入っている場合もあり、窃盗罪のほかに条例違反になることもあり得ます。

ゴミ捨て場のゴミは、拾わない方がよい

以上のように、ゴミ捨て場のゴミを持ち去った場合には有罪になることがあると思っておいた方がよいでしょう。当然検挙されるかどうかは別の話で、本を1冊持って行ったぐらいであれば、お巡りさんに注意されるぐらいで済むかもしれません。ただ今の社会の流れからすると「資源ゴミの重要性」がさらに高まっていくことが予想され、検挙されてしまうという事態になる可能性もあるのです。
今回のように、読みたい本をゴミ捨て場で見つけた場合には「拾わずに本屋で買う方が安全」というのが、弁護士からのアドバイスになります。

 

  • 調査地域:全国
  • 調査対象:年齢不問・男女
  • 調査期間:2016年02月01日~2016年02月15日
  • 有効回答数:100サンプル

【著者プロフィール】

  • 彩の街法律事務所 代表弁護士 神尾 尊礼
  • 家事事件から刑事事件、企業法務まで、幅広く扱ってきました。特に、裁判所等から後見等を頼まれることもあります。現在は、初回相談無料としています。敷居は低く満足度は高くをモットーに対応して参ります。

 

 

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