実は少し違う?世界と日本の仏教

2016年7月11日

仏教は日本人にとって最もなじみの深い宗教です。しかしかつてほど宗教が顧みられないのが現代社会。盆や葬式などで仏教に触れる機会はあっても、それがどんな宗教なのか知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな仏教についてまとめてみました。

世界三大宗教の一つ

仏教の起源は紀元前にまでさかのぼります。のちの釈迦となるガウタマ・シッダールタを始祖とし、インドを起点としてそののち世界中に広まりました。21世紀において、仏教は世界で最もポピュラーな宗教の一つであり、キリスト教・イスラム教と並んで世界三大宗教の一つに列せられています。主にアジア圏で信仰の対象となることが多く、日本をはじめとした東アジアやタイなどの東南アジアでとりわけ盛んな宗教です。

教義の特徴と違いについて

仏教の教義の特徴は、とりわけ無我論と輪廻転生にあります。無我論とは、自我を否定するということであり、輪廻転生とは、生まれ変わりのことです。しかし無我論と輪廻転生は、実のところ相容れない教義でもありました。それはすなわち輪廻転生の主体の問題です。無我であるなら何が輪廻するのか、これは仏教の間でも論争の種となり、多くの年月をかけて宗派の違いを生み出します。スリランカを起点として東南アジアに広まった南伝上座部と、中国から東アジアに伝播した大乗仏教と、大きく分けると主にこの二つの宗派に分かれたのです。すなわち、日本が信仰している仏教と、タイなどの東南アジアで信仰されている仏教は、実は少し系統の違う仏教なのです。

日本における仏教の享受

日本における仏教は、大乗仏教の一派ではありますが、他の東アジア諸国とは一味違う享受の仕方になっています。すなわち、神仏習合の理念です。日本においては、より土着の宗教である神道が、仏教以前に盛んに信仰されていました。6世紀ごろに朝鮮半島を経由して日本にも仏教が伝わると、瞬く間に仏教は全国に広がっていきます。しかし、神道の宗家である天皇を中心にした政治体制を敷いていた日本は、必ずしも仏教の流行を喜ばしいものとは感じません。そこで編み出されたのが、神仏習合の理念なのです。神と仏は決して相容れないものではなく、仏は日本の神々と同種の存在であるという思考は、他の地域には見られない日本独特の仏教享受の形です。そのため日本の仏教は、他の国や地域とは趣の違う道をたどることになるのです。

仏教は世界中で親しまれる宗教の一つです。ただ、日本の仏教は独自の享受のされ方をし、そのため独自の進化を遂げてもいます。禅などに代表されるように、日本と世界の仏教の違いを知ることも一興かもしれません。

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