世界最低レベル!?日本にキリスト教が広がらない理由とは?

2016年7月11日

キリスト教は仏教・イスラム教と並び、世界三大宗教の1つです。約23億人の信徒を抱える世界最大の宗教であるにも関わらず、日本人のクリスチャンの割合は世界最低レベルと言われているのをご存じでしょうか?クリスマスも結婚式もキリスト教式、でもお葬式はなぜか仏教式。そこで今回は日本におけるキリスト教についてご紹介します。

そもそもキリスト教の教えとは

キリスト教はイエス・キリストを唯一絶対の神の子として信仰していますが、教派によって教会の位置づけなどの違いも存在します。共通して聖書を聖典としており、ユダヤ教から受け継いだ旧約聖書とキリスト教独自の聖典である新約聖書があります。旧約聖書は教派によって聖典として定めているものの違いが激しく、新約聖書はほぼすべての流派で共通しています。キリスト教の教えの根本は愛(アガペー)であり、これは見返りを期待しない無償の愛を指します。「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くしてあなたの神を愛せよ。自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」(「マタイによる福音書第22章37~39節)とするように、愛によって世界は救われると考えられています。

日本の中のキリスト教

日本では1549年にイエズス会所属のスペイン人宣教者、フランシスコ・ザビエルによって伝えられました。当時の日本は戦国時代で、一時は九州から京都にかけて信仰の広がりを見せましたが、豊臣秀吉による弾圧、その後の禁教政策と鎖国の影響によってキリスト教徒は迫害をうけました。1873年にカトリック・プロテスタント両教会が禁制を解かれ、プロテスタント宣教師の来日による英語教育などを通じて徐々に信徒を増やしていきました。キリスト教の影響としては人間尊重・自由・平等・博愛の精神を広め、女子教育、医療分野、身障者施設、孤児院などの社会事業に貢献しました。一方で、日本のキリスト教徒はカトリック・プロテスタントを合わせても百万人程度で、総人口の1%に満たず、世界でも類を見ないほどのキリスト教徒が少ない国となっています。その一方でクリスマスや挙式などはキリスト教式を選択する人が多く、イベントや習慣の中に取り入れられています。

クリスマスはキリストの誕生日?

日本でキリスト教系最大のイベントとして人気が高いのがクリスマスです。クリスマスは神の子、救世主であるイエス・キリストの生誕祭ですが、実際にはキリストの誕生日はわかっておらず、ローマ帝国時代の冬至の祭りがもとになっているとされています。お馴染みのクリスマスツリーはドイツが発祥であり、サンタクロースはニューヨークの百貨店のキャラクターとして生み出されたものです。このように各国の風習や習慣がとりいれられ、定着しました。世界的には家族で過ごすことが一般的ですが、日本では恋人とのイベント、子供へのプレゼントイベントの1つとしても定着しています。

日本におけるキリスト教の位置づけ

キリスト教では唯一の神を信仰する中で、日本は古来より八百万の神が信仰されてきました。そのため日本において「神は1人だけである」という唯一神を唱えたキリスト教の教えは定着しにくかったようです。また、基本的には宗教は儀式と密着しており、特に日本では仏教の影響が色濃く残っていたため、葬式は仏教というのが一般的になっています。そのため両親揃ってクリスチャンである、祖父母の代からクリスチャンであるという場合を除き、自分だけ改宗した後に葬式を行う人が困るのではないかという心配も生まれてしまいます。そのため積極的に改宗する人が増えない結果となりました。しかし、キリスト教の神も日本においては沢山いる神様の1つとして定着しており、キリスト教系の行事はすでに深く定着しています。信者の数は少なくとも今後も年中行事の1つ、様式の1つとして親しまれそうです。

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